そもそもファット・ジョーといえばディギン・イン・ザ・クレイツ(D.I.T.C.)のメンバーとして知られていた……なんて書き出すと隔世の感がある。そこでソロMCとして群を抜く存在感とキャラ立ち(と体躯)を見せたファット・ジョーは、90年代半ばを過ぎるとテラー・スクワッドなるプエルトリカンのクルーを結成している。仲間となったのはジョーを超える巨漢で驚異的なスキルを持つビッグ・パニッシャー(パン)だった。たちまちソロで成功を収めたパンの他にも、キューバン・リンク、トリプル・セイス、アーマゲドンとメンバーも増え、99年には軍団でのアルバム『Terror Squad』が登場。しかし、2000年にパンが死去すると、クルーは徐々に傾きはじめる。アルバムを待つばかりだったキューバン・リンクが去り、セイスが去り、ジョーのソロ・ヒットは生まれてもクルーの存在価値は急落していた。それを救ったのが今回の“Lean Back”だったのだ。現在の陣容は紅一点のレミー・マーティンに、アーマゲドン、プロスペクト、そしてシンガーのトニー・サンシャイン。『True Story』で多くの見せ場を作ったレミーなど個々のソロ展開にも期待しよう。