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特集

ラファエル・サディークの真摯なブラックネス

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年10月21日 13:00

更新: 2004年10月21日 16:55

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/林 剛

New Classic Exploitation!!


 プロデュース業も大忙しのラファエル・サディークが、スタジオ録音のソロ・アルバムとしては2年ぶりとなる新作『Raphael Saadiq As Ray Ray』を完成させた。アルバム・タイトルにある〈Ray Ray〉とはラファエルが母親から呼ばれる際の愛称で、新作でのアップビートでアグレッシヴなサウンドとテンションの高さが〈Ray Ray〉と呼ばれていた頃の自分のキャラクターに合致したのだという。自身が主宰するプーキーからリリースする今作に対してラファエルは、「このアルバムは今までの作品とはちょっと違うんだ」と前置きする。

「なぜなら、曲を作る前に(ジャケットの)アートワークを先に作ったからさ。アルバム・カヴァーに合う音楽を作ったんだ。自分のやりたいことや作りたいサウンドにもっとフォーカスしてみたんだ」。

 ジャケットを見てみると、ヴィンテージ・スーツを身に纏ったラファエルが旧式のクーガーの前でポーズをとっており、タイトルの書体などアートワークの雰囲気も、これが実に70年代のブラック・ムーヴィー・サントラそのもの。“Blaxploitation”というタイトルの導入曲まであり、彼の狙いは一目瞭然だ。それに、ファルセットで歌われた“Help Grown Folks”を聴けば、誰もがカーティス・メイフィールドの“Super Fly”を連想するに違いない。

「ちょうど、〈Dole Mite〉とか〈Come Back Charleston Blue〉〈Uptown Saturday Night〉〈Which Ways Is Up〉とかの映画(ブラックスプロイテーション・ムーヴィー)を観てて、ブラックスプロイテーションをテーマにしたらクールなんじゃないかって思ったのさ。アルバムを通じてのメッセージは特にないよ。でも“Help Grown Folks”では大人たちにみんなで協力しあおうって呼びかけてる。そうすればキッズもちゃんとするだろう。この曲はカーティスの影響があるよ。最近カーティスをよく聴いてたからね。その他の曲では愛について語っている」。

 プロデュースはラファエル本人と、ラファエル一派のジェイク&ザ・ファットマン、ケルヴィン・ウーテンといった腕利きたちが関与。西海岸を中心に裏方活動を続ける旧知のマイケル・アンジェロともPファンクっぽい曲を共作していたりする。

「マイク(マイケル・アンジェロ)はPファンク狂なんだよ。ま、オレたちみんなそうだけどね」。

 もはや言うまでもないことだが、トニ・トニ・トニの時代からラファエルの音楽に息づいているのはファンクだ。アイズレー・ブラザーズのアルバムやリミックス盤への参加も彼のファンク魂を表明した仕事だったと思うし、とにかくラファエルのファンクに対する想いには並々ならぬものがある。ならば、先日他界したリック・ジェイムズに関しても何か想うところがあるだろうと……。

「実は彼が亡くなる2、3週間前に、ASCAPアワードで彼と会って握手したんだ。リック・ジェイムズに近づけるなんて、そう簡単なことじゃないんだぜ。彼はいい人だった。お別れするチャンスがあってよかったと思う」。

 さらにもうひとつ、ラファエルの音楽を言い表すタームに〈ネオ・ソウル〉というのがある。かつて彼はディアンジェロやルーツの作品に参加し、先日はジル・スコットの新作でプロデュースしていたが、そもそもネオ・ソウルの土台を築いた人たちこそトニ・トニ・トニだった(とされる)わけで、彼らなくしてはこのシーンは大きくならなかったはずだ。

「オレたちがシーンを担ってるとは思わないけど、ただオレたちは、そういった音楽を新しい時代に持ち込んだとは思う。でも、オレたちがネオ・ソウルの元祖だとは思わないね。元祖はフィリーだよ。あれがネオ・ソウルさ」。

 さて。新作ではラファエルが「素晴らしいソングライター」と絶賛するティードラ・モーゼス(ラファエルは彼女のアルバム『Complex Simplicity』にも関与)らが楽曲に華を加えるなか、“Rifle Love”では何とトニ・トニ・トニ(のドウェイン・ウィギンス)とルーシー・パール(のドーン・ロビンソン)をグループ名義でフィーチャー。これはやはり、両グループの本格的な再始動を伝えているのだろうか。

「そう、どちらのグループもまたアルバムを出すから、みんなに名前を知っておいてほしかったんだ。これからバンドを引き連れてツアーに出て、その後でトニーズとルーシー・パールのアルバムに取り掛かる予定。それが終わったら次のことを考えるつもりだよ」。

 いまのラファエルなら、どこまでもファンの期待に応えてくれそうな気がする。

▼ラファエル・サディークの関連作を紹介


ドウェイン・ウィギンス率いるトニーズ名義でのライヴ盤『Live@ Chocolate City』(Orpheus)

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