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特集

ジル・スコットのソウルは燦然と輝く

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年10月21日 13:00

更新: 2004年10月21日 16:55

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/出嶌 孝次

Neo Jilly from Philly


 ネオ・ソウル。ネオ・フィリー。ジル・スコット。待望久しかった彼女のニュー・シングル“Golden”はスコッと抜けた逸曲だった……というのは最低レヴェルのダジャレではあるけれども、続けざまに送り出されたアルバム『Beautifully Human : Words And Sounds Vol.2』の出来はシャレじゃ済まない。しかも、最高レヴェルだ。

凄く人間的なもの

「アルバムを作るたびに自分のなかにあるものを出し尽くしちゃうのよ。自分の内にある種のエナジーが生まれてくることがあって、これは説明しにくいんだけど、そのエナジーが生まれてきたら、私はそれを自然に受け止めて自分が動かされるままに歌を書くのね。いまは以前よりそのエナジーに身を任せるのが上手くなったのかもしれないわ」。

 そんなアーティスティックな表現もジルらしいが、つまり、彼女にとって作品は降りてくるものだということだ。

「そう、方向性とか目的とか、そういうことは考えてなくて、頭は空っぽだったの。歌詞が自然に生まれてくるのを待ってただけだったから。すべてが出来上がって実際に第三者の気分で聴き直してみるまで自分が何を言ってるのかもよくわかってなかったんだから」。

 そんな彼女なりに新作の内容を表現するとこうなる。

「みんながどんなメッセージをここから得るかはわからないわ。でも、私は人間性が聴こえる作品だと思ってる。女性の強さ、男性の必要性、ストリートの物語、愛の営みやロマンス、政府の変化を求める声、前向きな態度、償いの声……そういったものが聴こえてくる。そのなかに、凄く人間的な……〈Beautifully Human〉なものを感じ
るわ」。

 いずれにせよ、濃厚なグルーヴの渦に心地良く呑み込まれるような、そんな作品であることだけは聴けばすぐにわかるのだが。

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