Green Day
いまなお,攻め続けるニュー・アルバム!
もはやパンクのみならず、常にロック・シーンのトップに君臨し続けるグリーン・デイが、バンド活動15年目にして〈パンク・オペラ〉と呼べるもの凄い大作を作り、いや創り上げてきた! ルックアウト時代から数えて7作目のオリジナル・アルバムとなる今作『American Idiot』は、パンク、そしてロックという音楽の持つ可能性を最大限に引き出した究極のコンセプト・アルバム!とはいえ、そこはやっぱりグリーン・デイ。壮大 but わかりやすい、そして聴いてて楽しいとくれば、言うことナスです!!
「この作品が完成したいま、バンドは生まれ変わったような新鮮な気分を味わっているよ。セールスに関係なく、ボクらのキャリアのなかで大きな意味を持つ、記念碑的な作品だからね」(ビリー・ジョー、ヴォーカル/ギター:以下同)。
「何年後かに自身を振り返ったときにも〈こんなにもクリエイティヴな作品を創ったんだ〉と自負できる」と、ビリーも熱く語る今作には、“Jesus Of Suburbia”や“Home Coming”といった、グリーン・デイ初の9分を越す大作ナンバーが2曲も入っている。そして、それらすべての曲がひとつの物語のように展開していく今作は、間違いなくバンドにとって未開拓の領域に踏み込んだ創造力の結晶といえるだろう。
「マイク(・ダーント、ベース)に〈30秒だけのもの凄い曲を作ってみろよ〉って言ったら、ヤツは本当にエネルギーの凝縮した素晴らしい30秒の曲を作った。それに刺激されてボクもトレ(・クール、ドラムス)もその曲に合った続きを作っていって、どんどん大きいシリアスなカタチの曲が出来ていったんだ。その作業があまりに刺激的で楽しかったから、今回はこういうカタチでアルバムを完成させようと思ったんだよ。言ってみれば、ボクらはアウトキャストがやったような、いままでにやったことがないもの凄い〈冒険〉をしたかったのさ」。
そんな彼らの〈冒険〉には、『American Idiot』というなにやら意味あり気なタイトルが付けられている。現在、TVで流される大量の無意味な情報と、それらが人に植え付ける無駄な恐怖や困惑に対して、3人は大きな疑問を持っているという。
「みんなそれぞれの考えや〈自分らしさ〉を持って生きていこうと頑張っているのに、USのバカなメディアが流す過剰なコマーシャリズムや無駄な情報に惑わされている。ボクは、この現状に対して自分が抱いている困惑を、みんなと音楽を通じて分かち合いたかったんだ。ただ、基本的にはボクらの音楽はメロディーがあって明るいものだから、楽しんでくれたらそれでイイさ」。
〈自分らしさ〉を持って成長することを、〈パンク・ロック〉から学んだという3人は、結成から15年が経ったいまでも、ピュアなハート(赤面)を持ち続けて自分たちなりの〈ロック道〉を突き進んでいる。ただ、ここまでバンドが大きくなっちゃうと、音楽に対する純粋な情熱や衝動だけで突き進むのは難しいんじゃないの?
「ボクらの中では、まず始めに〈音楽〉があって、ビジネスうんぬんはそのあとに付いてくるものだから、それが音楽の情熱の邪魔になるようなことはないね。10代の頃に聴いて育ったバンドは、みんな長く続けてて良い作品をたくさん残している偉大なバンドばかりだったから、ボクらもいつ聴いても延々とヒートし続ける曲やアルバムをたくさん残そうと頑張ってきたんだ。この前も、10年前に作った“Basket Case”がクラブで流れたけど、いまも十分に通用するものだったしね。音楽で長い間ずっとトップに存在し続けることは、バンドをやるうえでのひとつの目標だったし、それを成し遂げてきていると思うよ」。
ひとつひとつのステップを大切にしてきたからこそ「いまがある」と、ピュアに、そして誇らしげに語るビリー。じゃあもし、いまの位置で音楽シーンに生き残ることと、〈自分らしさ〉を残すこと、どっちかを選択しなきゃならないときがきたら、どっちを取る?
「難しい質問だけど(笑)、強いて言うなら音楽かな。だって音楽を続けていれば、それがボクらの〈自分らしさ〉になるからね」。
みずからのバンドを、「自由、そして人生」と言い表したビリー。〈ただの自慰(G)〉では終わらない彼ら3人は、これからも、グリーン・デイという〈自分らしさ〉全開に、ロックという名の長い長い冒険街道を自由にばく進し続けて、ボクらを楽しませてくれること間違いナス!なのだ!!
▼グリーン・デイのアルバムを紹介。
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