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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年09月30日 14:00

更新: 2004年10月21日 16:56

ソース: 『bounce』 258号(2004/9/25)

文/小野島 大

彼らのニュー・アルバムは<パンク>どころの騒ぎじゃないぞ!!


「ルールのないアルバムを作りたかった。これまでとは違うものをね。『The Young And The Hopeless』をもう一度作りたくはなかった。ファンにとっても俺たちにとっても新しい経験をしたかった。とてもパーソナルでとても誠実で、ファンと打ち解けることのできるようなアルバムさ」(ベンジー・マデン、ギター/ヴォーカル:以下同)。

 絶好調グッド・シャーロット。全世界で500万枚のセールスを記録した前作『The Young And The Hopeless』は、すでに彼らにとって過去のもののようだ。かつてなくダークでシリアスなムードを漂わす3作目となるニュー・アルバム『The Chronicles Of Life And Death』は、彼らの大きな成長を示している。

「俺たちはただ明るくハッピーなだけじゃない。明るい面とダークな面の両面がある。今作では俺たちの心をさらけ出して、俺たちにはダークな面もある、落ち込んだり傷ついたりすることもあるんだってことを言ってる。俺たちだって人間なんだから、みんなと同じく変わろうとあがくこともある。生、死、愛、怒り、希望、絶望と、人生には実にさまざまな面がある。このアルバムを作るのは、人生そのものを経験するようなものだった。変化する希望、より良くなる希望、また一日を迎えられる希望。希望は常に俺たちのメッセージに込められてる。それは、俺たち自身が音楽から受け取ったものだからだ。辛かったときに希望を与えてくれたのはいつだって音楽だった。だから、今作におけるメッセージは〈希望〉ということ。そして、人生は素晴らしい経験で、一度しかないということ。人として成長し続けて自分を高めていって、落ち込んだときも這い上がる努力をすることが大事だということが、どの曲にも込められている。辛くてもそれを乗り越えて、本当になりたい自分になるということだよ」。

 オーケストラをバックに女性コーラスが日本語詞を歌う壮麗なオープニングで驚かせ、その後もストリングスやピアノなどが大幅にフィーチャーされ、U2やコールドプレイを思わすメランコリックでドラマティックな曲調が組曲風に展開するなど、音楽的にも大きく変化した。

「自然な変化といえるだろうね。ゴールを設けるのはやめて、ためらわずにただやりたい音楽を吐き出そうってことになったんだ。スタジオにはありとあらゆる楽器があって、まるで音楽の運動場みたいな感じだったんで、やりたいことをなんでも試してみた。バンドがステップアップできるよう、何もためらわずにやった。本来の自分たちをさらけ出して、判断は他人に任せることにしたんだ。いいか悪いか、好きか嫌いかはみんなに決めてもらおうとね。俺たちはただ自分らしく、心のままにやるだけだった。コントロールされてなくて、フリーフォームだった。みんなてんでに好きなことをやってて、すごく自由な感じでやってたんだ。だから、これは自然な一歩だったと思う。ストリングスやピアノを使った各曲の楽器編成は、俺たちがぜひともそうしたいと思ったものだ。なにより俺たち自身が聴きたかったものなんだ。そういった要素を抑えていたら、かえって自然じゃなくなる。そしてそれは俺たちにとっていいことじゃないと思うんだ」。

 そうした大胆な変化は、従来の〈パンク・バンドとしてのグッド・シャーロット〉のみを期待する人からは、賛否両論を呼ぶかもしれない。だが彼らはファンとの固い絆を信じている。本作『The Chronicles Of Life And Death』のリリースによって、これまで以上に良い関係を築けると確信しているのだ。

「ファンが俺たちを信頼してくれてるのと同じくらい、俺たちも彼らを信頼してる。以前は他のバンドとひと括りにされていたけど、今回で違うものとして認識されるんじゃないかな。変化すること、成長することを恐れちゃいけない。そして、ファンも俺たちと共に成長していってほしい。俺たちには素晴らしいファンが付いている。俺たちと同じくらい、本当に音楽を信じてくれてるんだ。俺たちの音楽は誠実だしパーソナルだし、そこには俺たちの等身大の姿が込められている。だから、みんなきっと分かってくれると思うんだ。ファンは俺たちのことをよく知ってるし、俺たちもファンのことをよく知ってる。そういう関係があるからね。だから『The Young And The Hopeless』ほどの成功を収められなかったとしても、俺は幸せだよ。これだけのアルバムを作れたんだからね」。

▼グッド・シャーロットの作品を紹介。

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