ヴィム・ヴェンダースが映画「ソウル・オブ・マン」で描くブルースの魂
生誕100周年を迎えて再燃するブルース
2003年/アメリカ 監督/ヴィム・ヴェンダース 出演/スキップ・ジェイムス、JB・ルノアー、ベック、イーグル・アイ・チェリー、ルー・リード、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン他 東京・ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ他、全国公開予定(配給/日活)
ブルースはアメリカが生んだ大いなる神話だ。だからそれがいつ始まったか、明確にするのは難しい。でも、歴史を重んじるアメリカは、2003年2月1日からの1年間を〈イヤー・オブ・ザ・ブルース〉と宣言。ブルースが100歳になる誕生日を祝った。ちなみに100年前になにがあったかというと、こういうことだ。1903年、ミュージシャンのWC・ハンディは、たまたま立ち寄ったミシシッピ州デトワイラーの駅で、これまでに聴いたことのない音楽を耳にする。黒人ギタリストがポケットナイフを使って弾いていた風変わりな曲。彼はその曲をさっそく楽譜に起こしたが、それが初めて公式に記録された〈ブルース〉だった──ってやっぱり神話ですね、これ。
で、それから101年後の今年。エアロスミスが彼らのルーツであるブルースのカヴァー・アルバム『Honkin' On Bobo』を、エリック・クラプトンがブルース界のレジェンド、ロバート・ジョンソンのトリビュート・アルバム『Me And Mr.Johnson』をリリース。彼らのほかにも、ケヴ・モ、Gラヴをはじめとする〈曾孫〉たちの新作が次々とリリースされている。そして、そんななかでマーティン・スコセッシ総指揮のプロジェクト、〈THE BLUES Movie Project〉が日本でも公開されることが決定。その詳細は別コラムに譲るが、このプロジェクトのなかでも話題の一本といえるのが、ヴィム・ヴェンダーズ監督作品「ソウル・オブ・マン」なのである。
▼文中に登場した作品を紹介。