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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年09月09日 13:00

更新: 2004年09月09日 17:32

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/ランディ・ペニントン

「ステップ・イントゥ・リキッド」のデイナ・ブラウン監督が語る、サーフィンの真実

「僕はサーフィンの美しさと素晴らしさを多くの人々に伝えたかった。そう、真実を。この作品の中にはどこを探しても窮屈さは存在しないだろ?」。

 そう語るデイナ・ブラウンはカリフォルニア州のダナ・ポイント生まれ。有名なサーフィン映画監督である父ブルース・ブラウンの影響で、幼い頃から映画やサーフィン、音楽に囲まれて育った。デイナはすぐさまサーフィン映画に時間を費やすようになり、いくつかの小さな作品に携わった後、父と共に「エンドレス・サマーII」を製作することになる。ここでの経験は彼にとって大きな挑戦であり貴重な体験となったと同時に、「大規模なスタジオでの撮影にある種の窮屈さを感じた」という。彼にはもっと観せたいものがあり、「スタジオやスポンサーに制限されたくない」と心の底で思っていたのだ。それが今作「ステップ・イントゥ・リキッド」のはじまりである。

「この映画の核は真のサーフィンであり、〈真のサーファーになること〉とはどういうものか?ということなんだ。年齢やサーフ・スタイルの違いを超えて、すべての世代のサーファーが、ここに表現されているストーリーで繋がっているような気がするんだ」。

 デイナはこの映画を通じて、ライディング・シーンだけではなく、あらゆるタイプのサーファーのライフスタイルを紹介した。ビギナーからビッグ・ウェイヴを乗りこなすレイアード・ハミルトンのような一流プロ・サーファー、そしてジェシー・ビラウアーのような下半身不随というハンディキャップを背負ったサーファーまで。

「サーファーの持つヴァイタリティーには凄まじいものがあり、また彼らのライフスタイルは非常にユニークなもの。サーフィンをしない人たちにそれを説明したくて、僕はその機会をずっと探していたんだ」。

 そう語るデイナはコルテス・バンク(南カリフォルニアの沖合にあるポイントで、船またはヘリコプターでしかアクセスできない。波のサイズは66フィートもあるが、1年に5日程度しか波が立たないという秘境中の秘境)でのスペシャルな経験談を聞かせてくれた。

「映画の撮影をしている間でも、もっとも印象に残った出来事だった。僕たちはサンタ・クルーズからマーヴェリックス(カリフォルニアにあるもうひとつのポイント)へと向かおうとしてたんだ。しかし友人であるサーフ・リポーターが〈明日コルテス・バンクがブレイクするかも〉と言ったもんだから、すぐさまボートを借りて一晩中(12時間!)かけてそこに行ったんだ。朝起きてみると、見たこともない巨大な波の山が目の前に広がっていたよ。僕はボートに座りこみ、人類が今まで乗ったこともないような大きな波にみんなが挑んでいる姿をただ眺めていたんだ。そしてなにかとても神聖な気持ちが沸き起こるのを感じていたね。畏敬の念から、帰り道でもみんなとあまりしゃべれなかったくらいだよ」。

 また、作品内で異なったタイプのサーフィンを観せるため、彼はマロイ兄弟(アイリッシュの血を引くクリス、キース、ダンの3兄弟。3人ともプロとして活躍中)を連れてアイルランドへも足を運んでいる。

「アイルランドの子供たちはおもしろい。サーフィン市場と呼べるものはないし、水は年中冷たい。お世辞にも上等とは言えない古いウェット・スーツをいくつか持っているだけなんだ。でもマロイたちが1日中コーチをしている間、彼らはとにかく一所懸命習おうとしていた。マロイたちは本当に素晴らしかったよ。私にとっても大変意義のあることだったし、子供たちが寒さに凍えながら鼻水を垂らして、でも笑顔をいっぱい浮かべ幸せそうな顔で列を作っているのを見ていたら、まるで時間が止まったかのような気分になった。〈これがサーフィンなんだ!〉ってね」。

 プロ・サーファーが南国のビーチでパーフェクトな波に乗っている姿を観ても、そこに自分と似た部分を見い出せない人たちも、きっとこの映画になら共感できるはず。この作品は既存のサーフ映画とはまったく別のものなのだから。

「波に乗ることだけじゃない。いい波や海や自然の美しさと力強さ、それを探しに行く旅の合間に経験する興奮やわくわくする気持ちもサーフィンなんだ」。

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