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特集

いまをリアルに投射したカヴァー・アルバム

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年09月02日 16:00

更新: 2004年09月02日 17:53

ソース: 『bounce』 257号(2004/8/25)

文/小松崎 健郎

FROM STUDIO 150

「僕のオリジナルじゃなくて、全曲カヴァーからなるアルバムを一度は作ってみたいっていう思いは、何年も前からず~っとあったんだよ。ただ、なかなかタイミングが合わなくってね。でも、今回は──スランプってわけじゃないんだけど──ちょっと自分で曲を書くモードにはなかなかなれなかった。そうこうしてるうちに逆にこう思ったんだ。いや待てよ、だったら、カヴァー・アルバムを出すにはまたとない機会じゃないか!ってね」。

 去る7月、〈ロック・オデッセイ〉出演のため来日したポール・ウェラーにインタヴューした際、今回のニュー・アルバム『Studio 150』について尋ねてみたところ実に明快な答えが返ってきた。スタジオ・アルバムとしては通算7枚目にあたる『Studio 150』は、2年前の前作『Illumination』とは打って変わってオリジナル曲は一曲もなし、ボーナス・トラックを含む全12曲、いずれも他人の楽曲のカヴァーばかりである。ティム・ハーディン、ボブ・ディラン、ゴードン・ライトフット、ニール・ヤング、アーロン・ネヴィル、シスター・スレッジ、ギル・スコット・ヘロン、さらにはカーペンターズにオアシスまで! つまり、よくありがちな自分のルーツ・アルバムの類でもない。

「うん、みんな意外に思うだろうね(笑)。ビートルズもスモール・フェイセズもザ・フーもキンクスもモータウンも入ってないんだから! 選曲はすべて、いま現在の僕が歌ってみたい曲、あるいは実際に自宅とかで口ずさんでいる曲ばかりさ。言うなれば他の人から素材を借りていまの自分を表現したってところだろうな」。

 だからであろう、アルバムには回顧録的な佇まいも、また企画モノっぽさも皆無なのである。そう、あるものといえば、全曲カヴァーでありながらも、ウェラーならではのフィルターによって濾過することでオリジナルなものへと消化(昇華)されていった名曲の数々。興味のある方はぜひとも原曲との聴き比べをしていただきたいところだ。なお、レコーディングはアムステルダムの〈スタジオ150〉にて行われているが、ウェラーにとってはスタイル・カウンシル以来、久々の海外録音であり、そのあたりも大きくプラスに作用したそうで、実にリラックスした雰囲気のなかで仕上げられていったという。『Studio 150』、ここにはまさにポール・ウェラーの現在進行形の姿が映し出されている。

▼ポール・ウェラーがカヴァーした楽曲を収録したアルバムを一部紹介。


シスター・スレッジのベスト・アルバム『The Best Of Sister Sledge(1973-1985)』(Rhino)

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