A.S.P アイデアとムードと和みに満ちた、夏の主役たち
ジャズやブラジリアンなどを基調とした多国籍感溢れる音楽。関西から、そんな独自のブレンド感覚を持ち味にした、ジャンルに属さないバンドたちが続々登場しています。なかでもこのA.S.Pは、この特集の冒頭で紹介したBAGDAD CAFE THE trench town同様、イヴェント〈Love Sofa〉を機に全国区に名を広げた6人組。ピアノのMICHEL☆PUNCHをはじめとする数名は、BAGDADのメンバーとしても活躍しています。ただ、A.S.Pの音楽性はまた別モノ。ムード歌謡の枠から〈ユーモア〉という滑らかな片脚をチラつかせ、哀愁に満ちたボサノヴァやモダンなジャズ、時には活きのいいトーク(これも大事!)で聴き手の頬を緩めてしまう、イカした音楽集団なのです。ライヴでは頻繁に〈アハ~ン!?〉と脳ミソ溶け気味(照れ笑い?)な姿を披露して場を和ませてくれるヴォーカルのAZUですが、そんな彼女の歌声は、どこか安田南を彷彿とさせる、気丈な昭和女性の色気に満ちているようでもあり……。雑食でありつつ洗練されたサウンドの魅力に加えて、プレイヤーの生活に根差したアイデアが詰め込まれたA.S.Pの音楽は、夏虫の鳴くこれからの季節を、いっそう楽しいものにしてくれるはずです。