BAGDAD CAFE THE trench town(2)
コイツのこと好きなんちゃうか!?
そこに付け加えて、彼女は〈ラヴァーズ・ロック〉の定義を次のように語ってくれた。
「ラヴァーズ・ロックに関しては、私は、純粋に〈愛〉を表現する音楽だと思っているんです。単に〈優しく甘く〉っていうだけじゃなくて、もっと力強くてドッシリとした大きな愛情みたいなものを歌をとおして伝えていきたくて」(MAI)。
まさしく。MAIの歌声には聴き手をふんわりと包み込むような、大らかで力強いヴァイブスが満ち溢れている。
「だからこそ僕も、曲を書く時は、何よりも彼女の声を意識するようにしてるんですよ。いくらいいメロディーが浮かんでも、そこにMAIちゃんの声が重ならないと、自分のなかで全然納得できないんです。〈もしかしたら、俺、コイツのこと好きなんちゃうか!?〉って(笑)、それぐらい徹底的に考えてますから」(Raita)。
「ありがとうなぁ。ホンマに」(MAI)。
インタヴューの場が、ほっこりと温かくなった、ちょっとイイ瞬間。彼らの現場では、きっと、こうしたやりとりが実に自然な形で行われているんだろうなと、憶測ながらも、しみじみと感じ入った次第。
「11人の人間が集まって、お互い歩み寄って、思い合って、叱り合って、ひとつのものにトライしていくっていう。そういうのって単純に私、めちゃくちゃ素敵なことだと思うんです」(MAI)。
その趣は、例えるならば、あたかも11人12脚といったところ? 彼女の発言を受けて、ふいにそんな光景が脳裏をよぎる。正直、例えとしては、どうかと思うんだけど……。
「いやいや(笑)、ホンマそんな感じです。いまは、みんなが横一線で同じ方向に向かってるような状態だから」(MAI)。
「〈そんだけメンバーがおったら派閥みたいなものもあるんちゃうか?〉とか、よく言われるんですけど、ウチらはそういうことが見事にないんですよね。誰とおっても2人になれるし」(Raita)。
「もう、ラッキーとしか言いようがないですね。いっしょに音楽をやっていく人たちが、そういう関係でいられるっていうのが……そこは、やっぱり大切にしたいなぁ」(MAI)。
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