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特集

ザ・フーが内包する多彩な音楽性と、時代を競い合ったライヴァルたち THE SQUEEZE BOX

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年07月08日 16:00

更新: 2004年07月08日 17:12

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/石田 英稔

PUNK
  70年代後半のセックス・ピストルズやクラッシュらパンク・バンドの台頭よりも前に、パンク・ロックのゴッドファーザーとして後進バンドへ多大な影響を与えた2つのバンド。かの有名な“You Really Got Me”やアルバム『Kinda Kinks』収録の“Come On Now”など、キンクスのビートを強調しリフを前面に打ち出した楽曲は、ザ・フーの“I Can't Explain”へ大きなヒントを与えたとか。そして、永遠のアンセムとして鳴り響く“My Generation”や“The Kids Are Alright”などで歌われる、若者の代弁者としてのメッセージ性やステージでの過激なパフォーマンスは、とりわけセックス・ピストルズ登場の大きなヒントになったのではないか? その後、ジェネレーションXは“Your Generation”を叫ぶ。

BRITISH BEAT
  もっとも一般的にイメージされているザ・フーとはこのあたりか? 絶妙なポップ感とワイルドなビート、そしてリズム&ブルース・フィーリングが成熟したのがこのセカンド『A Quick One』あたり。メンバー全員がペンを取っているがゆえの散漫な印象からか、正当に評価されることは少ないが、後々までライヴのレパートリーとなるナンバーやカヴァーのセンスを見逃してはいけない。一方、同じ路線で真っ向勝負をかけていたヤードバーズも、ポップなビート・ナンバーを連発している。録音がエリック・クラプトン~ジェフ・ベック期に渡っているUS編集アルバム『For Your Love』ではその変遷と共に、いかしたビート・ナンバーがたっぷりと堪能できる。

PSYCHEDELIC
  アメリカのドラッグ・カルチャーから派生したサイケデリック・ムーヴメントは、ロック・シーンをも侵食し、ジェファーソン・エアプレーンらが登場。当然のようにUKでも、ビートルズやスモール・フェイセスをはじめ、クリーム、ピンク・フロイドらが大きな影響を受けている。しかし、ザ・フーにおいてはサウンド面での影響は薄いものの、US編集アルバム『Magic Bus』のジャケで見られるように、ファッション/ヴィジュアルの一要素として採り入れられている。そして忘れてならないのが、サイケデリックなアプローチの強かった初期のジミ・ヘンドリックス。ザ・フーとの競演でも有名な、モンタレー・ポップ・フェスティヴァルでのサイケな照明も含めたステージングは必見。

MODS
  少なからず〈モッズ=ザ・フー〉という認識がなされているような感もあるが、そのスピリットを継承し独自の方法論で表現していたバンドであるともいえる。〈ファッション〉〈ドラッグ〉と並び、モッズを語るときに外せないキーワードの一つ〈リズム&ブルース〉。当時のローリング・ストーンズやアニマルズ、ゼムらが、より黒いリズム&ブルースを表現するなか、ザ・フーもアルバム『The Who Sings My Generation』でジェイムズ・ブラウンの“I Don't Mind”をカヴァーするも、リズム&ブルース臭はほどよくポップに浄化されている。そしてロンドンのリズム&ブルース・シーンを担い、リアル・モッズに支持された存在といえば、ロン・ウッドの兄アート・ウッド率いるアートウッズを忘れてはならない。


アートウッズのシングル・コンピ『Singles A's & B's』(Repertoire)

HARD ROCK
  ダイナミックで大音量、そして圧巻のステージ・パフォーマンス──これこそがザ・フーとレッド・ツェッペリンが〈ハードロック・バンド〉と呼ばれる所以である。共に4人編成だったり、パートごとのキャラにも共通点(意識してた?)が見えることからも、お互い横目でチラリと牽制ぐらいはしていたのであろう。そして、ライヴでのインプロヴィゼイションにおいて、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルらがソロ・プレイを応酬するのに対し、ザ・フーのそれはピートのコード・ワークを主体としたドラマティックかつ文学的ともいえるアプローチを見せる。

インタビュー