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怪物バンド、ザ・フーの血肉となったルーツ・ミュージックを検証 GETTING IN TUNE

 60年代は過激なビート・バンドとしてモッズのヒーローとなり、70年代は最強のライヴ・バンドとしてキッズの血をたぎらせ、パンクスも〈ゴッドファーザー・オブ・パンク〉と敬愛した永世不出の怪物バンド、ザ・フー。彼らがザ・フー以前に名乗っていたハイ・ナンバーズのデビュー曲“I'm The Face”は、50'sルイジアナ・ブルースの体現者スリム・ハーポの“I Got Love If Want It”の歌詞をモッズ向けに変えたものだ。ザ・フーの十八番といえばモータウンをはじめとしたリズム&ブルースのカヴァーで、マーヴィン・ゲイの“Baby Don't You Do It”を激烈にカヴァーし、ジェイムズ・ブラウンの名曲“I Don't Mine”“Please Please Please”もあっさりとカヴァーしている。エディ・コクランの“Summertime Blues”やモーズ・アリソンの“Young Man's Blues”に至ってはオリジナル以上に有名だ。そして、話題の新曲“Real Good Looking Boy”のメロディー、歌詞の一部はなんとエルヴィス・プレスリーの〈愛さずにはいられない〉から引用! ロックの神様エルヴィスに憧れる少年時代の回想から始まるこの曲は、ピートが最後の戦友ロジャーへ捧げた〈お前を愛さずにはいられない!〉というメッセージでもある。還暦間際のオッサンによる、こっ恥ずかしくも最高に泣ける名曲だ。先達への多大なる愛情とリスペクトで〈My Generation〉をかき鳴らす〈伝統と革新のバンド〉、それがザ・フーなのだ。

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カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年07月08日 16:00

更新: 2004年07月08日 17:12

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/冨田 明宏

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