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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年07月01日 17:00

更新: 2004年07月01日 19:12

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/高橋 荒太郎、村尾 泰郎、山田 大輔

甘くてせつないラヴストーリーの世界

 古今東西、男女の愛を描いた物語は多いけど、韓国映画ももちろん愛をテーマにした豊潤な作品が多数あります。男女の愛は人間の普遍的なテーマのひとつではありますが、それをドラマティックかつロマンティックな構成と展開で見せることで、映画の楽しみと感動は倍増。例えば日本でもヒットを記録した「猟奇的な彼女」は、実話を基に映画化され、最後の奇跡的な展開と随所にたっぷりと盛り込んだ笑いによって、極上のラヴコメに仕上がった笑って泣ける秀作。〈猟奇~〉のドラマティックな最終展開と同じく、ドラマティックな構成といえば、〈猟奇~〉の主演女優であるチョン・ジヒョン主演の「イルマーレ」もお忘れなく。過去と現在の世界に生きる男女の、時空を超えたラヴストーリーが感動をもたらします。そして「イルマーレ」の主演男優イ・ジョンジェと「JSA」の主演女優イ・ヨンエによる「ラスト・プレゼント」も必見。こちらは売れないコメディアンの夫と、それを支える妻の話。困窮する生活が原因で喧嘩の絶えない2人だが、その裏にはお互いを想い、強い愛で結ばれていること感じさせる感動作。この作品で泣いたという人は多く、流された涙の量を集めると一本の川くらいは軽くできるのかもしれません。そして「八月のクリスマス」も要チェックです。セピア色の恋というのはこういうことを言うのでしょうか。静かに確実に大きくなる恋心が愛しく切ない物語。主演男優ハン・ソッキュの人の良さそうな役柄と、主演女優シム・ウナの無邪気な姿がより一層切なさを煽り、しみじみとやさしい余韻に包まれます。本作でシム・ウナのファンになった人は多数いるはずです(残念ながら現在は女優休業中)。(高橋)

まずはこの一本! ~ラヴストーリー編
『八月のクリスマス」
キング(1998)

  カンヌでも好評だった本作は、「シュリ」「JSA」などの大作が台頭する以前、韓国映画の代表的作品のひとつとして真っ先に挙げられていた作品。主演男優は多くの映画出演でお馴染みの国民的俳優ハン・ソッキュで、主演女優のシム・ウナも本作で一躍人気女優となった。劇的な変化がなくとも確実に季節の移ろいがわかるように、本作では愛しさという心情を静かにゆっくりと描いている。迫る死期と自分の気持ちに静かに向き合う男と、それを知らずに純真に膨らむ恋心に素直に向き合う女の淡く儚い心情が見事に描かれ、切なくも優しい気持ちにさせられる名画である。(高橋)

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