耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
PAVEMENT
『Crooked Rain, Crooked Rain』 Matador/1994
一方、〈ローファイ〉の旗手である彼ら。ルーツの見えにくい音楽性がことさら掴みどころのないバンドにしているが、ギター・ノイズや変則チューニングといったキーワードでソニック・ユースと重なる部分も多い。こちらもUKで火が着き、のちに世界基準のバンドとなった。(武山)
TORTOISE
『It's All Around You』 Thrill Jockey/2004
ハードコア・パンクからスタートして、フリージャズ~クラウト・ロックへ傾倒していったトータスは、ジム・オルークというキーパーソンを介してソニック・ユースと相似形。パンクという強い〈核〉があるからこそ、サウンドがどんなにフリーフォームになっても方向は決してブレない。常に前進する音の冒険家たち。(村尾)
JUANA MOLINA
『Tres Cosas』 中南米音楽/2002
アルゼンチンの音響歌姫、フアナ・モリーナの柔らかく歪んだ音は本当にイノセントだ。素朴なスロウ・コア、浮遊するスペイシー・ポップに響くフアナの優しすぎる歌声……未完成であるがゆえに素晴らしい楽曲の数々。あまりにも無垢な彼女の歌に、今日もまた心洗われる。(則武)
DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN
『Structure et force』 Pヴァイン/2003
地下社会のヴァイブと現代美術のように複雑な構成で、われわれの耳を捕らえて放さない、菊地成孔率いるDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN。自由なフレーズと難解なリズムが織りなすダイナミックなサウンドは、聴けば聴くほど中毒になる。〈アヴァン〉ってコトバの意味を改めて考えさせられます。(則武)
AUTECHRE
『Draft 7.30』 Warp/2003
テクノ/エレクトロニカ・シーンのソニック・ユース的存在である(?)オウテカ。断続的に途切れるリズム、美しく拡散するメロディーとグリッチ・ノイズの飛沫。デスクトップ上で繰り広げられるフリー・インプロヴィゼーションから生まれ出る揺らぎのサウンドは、もはや芸術の域にまで達している。(則武)
downy
『無題』 guiderat/felicity/2003
ソニック・ユースはもとより、その関心はブリストルのエクスペリメンタル勢などにもあって……って、ノイズの申し子!? いやいや、映像ともどもミニマルな展開のなかに見えてくるポップ・ミュージックの本質。どこのシーンにも寄らないガンコさと情報の洪水で、世界を掻き回せ!!(武山)
BLACK DICE
『Beaches & Canyons』 Fat Cat/2002
ソニック・ユースがキュレーターを務めた〈オール・トゥモローズ・パーティーズ〉に出演して以来、なにかと話題のバンド、ブラック・ダイス。D.F.A.、ファット・キャット、タイガー・ビート6などからリリースを重ねる彼らのサウンドは、カオティックなノイズのなかに散りばめられた美しきメロディーの結晶。(則武)
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