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特集

ソニック・ユースの周囲に拡がる、広大なサウンド・ネットワーク A POINT OF AVANT-GARDE

 ソニック・ユースがこれほどまでにポピュラリティーを獲得しつつも、決して忘れることのない実験の心。その心意気は、彼らにこびり付いたパンクの心であり、アートな遊び心にほかならない。喧騒が煙るNYをギターのフィードバック・ノイズで埋め尽くしたルー・リードの名(迷)作『Metal Machine Music』や、ノーウェイヴの教典『No New York』に衝撃を受けた若き日のサーストン・ムーアとリー・ラナルドが師事したのは、ギター・ノイズ・シンフォニーの始祖であるグレン・ブランカ。そのギター・オーケストラはもろソニック・ユースの原形であり、いまなお刺激的である。そして、ジョン・フェイヒーやローレン・マザケイン・コナーズら天然音響ギタリストとの共演で、時代に埋もれていた奇才を世に知らしめた功績も彼らならでは。ほかにも、キムが敬愛するシャンソン界の異端、ブリジット・フォンテーヌのアルバム『Kekeland』への全面参加やジム・オルークとの出会い。そして、ソニック・ユースのアルバム『NYC Ghosts & Flowers』におけるポルトガルの極美ドローン系ギタリスト、ラファエル・トラルの参加や、ついには60's前衛パフォーマンス・アート運動フルクサスのメンバーも巻き込んで20世紀(の偉大なる音楽家たち)に〈さよなら〉を告げた現代音楽トリビュート的作品の自主リリースなど、彼らの冒険は果てがない。すべてのアヴァンギャルドに通底するソニック・ユースの確かな眼差しは、豊かなネットワークと明確な意志をもって混沌の先の未来へと向かい続ける。

▼文中に登場するアーティストの作品を一部紹介


78年のコンピ『No New York』(Island)


ジョン・フェイヒーのベスト・アルバム『The Best Of John Fahey 1959-1977』(Takoma)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年06月10日 12:00

更新: 2004年06月10日 18:59

ソース: 『bounce』 254号(2004/5/25)

文/久保 正樹

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