耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
MAMA CASS
『Mama's Big Ones : The Best Of Mama Cass』 MCA
アメリカン・ポップス界永遠のビッグ・ファット・ママ、キャス。フォーク・ミュージックのフィーリング、ナチュラルでエモーショナルな歌声の響き、その歌から覗ける少女性などなど、ニーナの音楽性と符合する点は実に多し。彼女が歌うバリー・マン&シンシア・ワイル作の“New World Coming”はニーナもカヴァー。(桑原)
畠山美由紀
『Fragile』 chordiary/2002
ジャズ・ヴォーカリストたちへの限りないリスペクトを絶えず自身の音楽に反映させる彼女。宙を仰いで空高く歌を放つ彼女の肩にはサラ・ヴォーンやチェット・ベイカー、それにジョニ・ミッチェルやニーナが腰掛けている。このカヴァー・アルバムでもニーナの持ち歌“I Loves You Porgy”を取り上げている。(桑原)
NORAH JONES
『Feels Like Home』 Blue Note/2004
ジュールズ・ホランドと共にニーナの“In The Dark”をカヴァーしてみせたりするなど、なんとなくニーナの姪っ子的な佇まいも感じさせるノラ・ジョーンズ。まずジャズであり、でもポップスでもあり、あるいはソウルかもしれなくて……要するに、純な歌がまずありきなノラの歌はニーナ譲りかも。(村尾)
STEELY DAN
『Aja』 MCA/1977
ジャズへの愛情を隠そうとしないスティーリー・ダン。そのジャズ~ポップスをクロスオーヴァーする優れたフュージョン・センスを味わいながら、ニーナとのセッションを想像したりするのも悪くない。都市音楽としてのスティーリー・ダンと自然回帰のニーナ。方向は違えども、どちらも夜更けの匂いがする。(村尾)
JOY DENALANE
『Mamami』 Four Music/2003
南アフリカをルーツに持ち、ドイツを拠点にボーダレスなR&Bを歌うジョイ・デナラーニ。ビリー・ホリデイと共にニーナへの共感も隠さない彼女だけに、今作でもニーナの“Four Women”を3人の女性シンガーを伴いながら律儀にカヴァー。筋の通ったルーツへの眼差しもまたニーナ譲りで、かなりの直系チルドレンかな。(達磨)
矢野顕子
『ピヤノアキコ。』 エピック
ピアノのように唄い、唄うようにピアノを弾く矢野顕子。その歌同様、さまざまなジャンルのエッセンスがフュージョンされたピアノのタッチからは、ニーナのピアノと同じ自由な息吹が伝わってくる。歌とピアノのナチュラルな相関関係。それはジャンルに収まらないユニークなヴォーカル・スタイルとワンセット。(村尾)
RAGE AGAINST THE MACHINE
『Live At The Grand Olympic Auditorium』 Epic/2003
ニーナ・シモンとはいったいどんなシンガーなのか。あらゆるジャンルから引っ張り出して、彼女を〈レベル・ミュージック〉というジャンルに当てはめてみると、これが実にしっくりとくる。すると、その横には彼らやパブリック・エネミー、フェラ・クティなんかがいるわけ。この生々しい反抗の記録をニーナはどう聴く?(達磨)
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