ロック・ムーヴィーのDVDはこんなにあるぞ! 復習を欠かさないこと!!
『ロックンロール・ハイスクール』
キング(1979)
〈スクール・オブ・ロック〉を卒業したら、もちろん進学は〈ロックンロール高校〉へ。試験はラモーンズのナンバーをなんでもいいから歌えること! B級映画の帝王ロジャー・コーマンが製作した本作は、学園ドラマとロックンロールの明快な足し算。校則で縛りつけようとする女校長と闘うために生徒たちが選んだ最終兵器は、革ジャンとロックで武装したラモーンズだった。当初バンドの候補にはチープ・トリックが挙がっていたらしいが、ラモーンズじゃなきゃラストの学校大爆破はなかったはず。ラモーン一家がチアガールを引き連れて学校の廊下を練り歩くシーンは、まさに〈スクール・ウォーズ〉だ!!(村尾)
『ロック・オペラ「トミー」』
ユニバーサル(1975)
ザ・フー『Tommy』を過剰なる鬼才ケン・ラッセルが映画化。主役のトミーをロジャー・ダルトリー、男色家の叔父をキース・ムーン、他にもエルトン・ジョン、ティナ・ターナーなど派手なゲストが重要なキャラを演じている。爆発するピンボール卓に破壊される楽器を重ねれば、青年トミーの〈内なる〉叫びはそのまま作者=ピート・タウンゼントの声だ。(安田)
『ファントム・オブ・パラダイス』
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント(1975)
武田百合子いわく〈澁澤龍彦と歌手はしだのりひこを合わせて割った〉風貌の持ち主=ポール・ウイリアムスが、その才能を全開にして曲を書いたバブルガム・バンド、ジューシー・フルーツ、感電ロッカー、ビーフ、そして主人公が(〈澁澤龍彦と歌手はしだのりひこを合わせて割った〉風貌の)悪魔から、その魂と引き換えに手に入れた珠玉のバラード……に、クラクラ。電撃的芸能界の光と影。(安田)
『デトロイト・ロック・シティ』
ハピネット・ピクチャーズ(1999)
ロックたるもの、PTAに嫌われてこそロック! 70年代に地獄からやってきたキッスは、ガキの味方にして親の敵、まさにロックの象徴だった。物語は初めてバンドを組んだ4人のロック少年たちが、憧れのキッスのライヴに参加しようと頑張るチケット・ゲット大作戦。敵は〈ロック反対!〉な恐~いママ&軟派なプレイボーイのイタリア野郎&年上の不良&ダフ屋&ローディーたち。なんだかんだの苦労の果てに対面したジーン・シモンズの舌出し&火噴きには感涙必至。そこで教訓! 初めてのロック・コンサートは同い年の友達と行け! まさに“Detroit Rock City”の“Rock'n Roll All Night”で“Shout It Out Loud”!!(山口)
『さらば青春の光』
ユニバーサル・ピクチャーズ(1979)
この映画を観ていない人にとっては、ヴェスパは坊主が檀家を回るのに使っていた乗り物で、ミリタリー・コートは青島刑事の専売特許……とは、大袈裟ですが、〈悲しき雨音〉を耳にするたび、ザ・フー“My Generation”を聴きたくなるのは確実にこのモッズ映画のせいです。〈族〉を描くことは、そこにコミットできなかった個人の孤独を徹底して語ることなのかもしれません。(安田)
『ロッキー・ホラー・ショウ』
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント(1979)
ホラー/青春/ミュージカル……そのエッセンスをズルズルにシェイクして、グラム・ロックのゴージャスさで着飾ったパーティー・ムーヴィーの基本形。サーカスの熊みたいにバイクを乗り回すミート・ローフもいいんですが、やっぱり肝はティム・カーリーのドラッグクイーンぶり。スクリーン越しに汗と白粉が飛んできそうなその演技は、デヴィッド・ボウイも悔しがるほどのはしたなさ。(村尾)
『シド・アンド・ナンシー』
東北新社(1986)
パンクスなら生き急げ! セックス・ピストルズの狂騒、マルコム・マクラーレンとジョニー・ロットンの対立に呑み込まれた類い稀なルックスのべ-シスト、故シド・ヴィシャス&故ナンシー・スパンゲンのドラッグとパンクにまみれた永遠のメロドラマ。サントラには故ジョー・ストラマーが参加。死後5年あまりで、〈伝説〉をとっとと映画化したアレックス・コックス監督は老パンクとして存命中。(山口)
『ザ・コミットメンツ』
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント(1991)
ダブリンを舞台に描かれる〈バンドやろうぜ!〉物語。ユニークなのはキャストのほぼ全員が役者としてもミュージシャンとしても素人同然だったことで、その成長ぶりがとってもリアル。なかでも弱冠16歳でウィルソン・ピケットやオーティス・レディングを歌いこなしたヴォーカリスト役、アンドリュー・ストロングはスゴイ! 「俺たちアイリッシュは、ヨーロッパの黒人だ!」という名セリフあり。(村尾)
『ウェインズ・ワールド』
パラマウント・ホーム・エンターテインメント(1992)
クイーンの代表曲“Bohemian Rhapsody”にふたたび脚光を当てたのは、キムタクではなく、メイビー、この映画。極めて生産性の低い若者たちがヘッドバンキングしながら「ガリレオー、ガリレオー」と、このロック・オペラの華麗なるコーラス・パートを再現するのを観て、自分を観ているとしか思えないお兄さんたちのために、この映画は存在する。DIY精神を貫くストーリーも◎。(安田)