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特集

1時間目 ロック・ヒストリー ――ここからは、bounceが誇る講師陣によるロックの授業がスタートです! これを読めば、映画「スクール・オブ・ロック」もさらに楽しめますぞ!!

まずはロック・シーンの推移を駆け足で検証します。エポックとなったロック・レジェンドの名前は絶対に暗記すること!!

ロックとはミクスチャー音楽だ!

 映画「スクール・オブ・ロック」の劇中でジャック・ブラック扮するニセ臨時教員がコドモたちにロック史を教える場面があるが、そこで彼が黒板に描いた音楽ジャンル相関図によれば、パンクからグランジ、ヘヴィーメタルからプログレに至るまで、すべてのロックはカントリーもしくはブルースを根源とするものということになっている。で、これは映画的都合上のでっちあげなんかじゃなく、まぎれもなく事実なのである。もちろんヒトとヒトの間に生まれたコドモとはわけが違い、ブルースとカントリーの私生児なんて形容がなされたりもするロックというものが、本当にその双方を実の両親とするのかをDNA鑑定みたいな方法で実証することは不可能だ。が、少なくとも、歴史のなかでの両者の合体が〈ロックの起源〉として長年唱えられ、定説とされてきたことは間違いない。

 要するにロックというのは、最初からミクスチャーだったわけである。で、昨今言うところの〈ミクスチャー〉というやつが実験精神と大胆な冒険心から生まれたものであるのと同様に、ロック自体もそもそも邪道で野蛮で異端的なものとして認識されていたのである。つまり、たとえば新しいムーヴメントが定着するとジャンルとして成立するようになり、オルタナティヴなものが広く浸透すればメインストリームにとって変わる存在になり得るのと同様に、ロックも長い時間をかけながら、音楽地図のなかで〈邪道〉から〈王道〉へと姿と居場所を変えてきたというわけである。

 で、音楽をカテゴライズしようとするときに各々のジャンルの境界線をどう設定するかの基準が人によって千差万別であるように、ロックがどういった周辺音楽と付き合いながら成長し、時代の流れのなかで新たに生まれたコドモたちがそれぞれどんな位置関係にあるのかという解釈は、やはり個々人の感性に委ねられるものであり、ひとつの確固たる正論というものは存在しない。が、時代の変遷というものを大雑把に捉えながら〈その次に起こったこと〉を踏まえつつ考えてみると、次のような定義づけが可能なんじゃないかという気がする。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年04月28日 17:00

更新: 2004年05月07日 18:53

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/増田 勇一

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