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WELCOME SCHOOL OF ROCK [ 特集 ]ロック学校へようこそ!!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年04月28日 17:00

更新: 2004年05月07日 18:53

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/村尾 泰郎

ロックを題材にしたコメディー映画「スクール・オブ・ロック」が、このたび日本で公開される。これまでずっとロックを応援してきたbounceだって、この映画に負けてはいられません!! 一足お先に〈ロック学校〉の開講です!! まずは新入生のみなさんへ最初のクエスチョン──ロックを忘れてないかい?  

 キンコンカンコーン♪ そんないつもの始業ベルの音をジミヘンのギターが奏でるとき(ギュイングワンンギュイングワワン……)、向こうからやってくるのは僕らのロック・ティーチャー、ジャック・ブラック。話題の映画「スクール・オブ・ロック」の主役デューイ・フィンを演じた俳優にしてコメディアンにしてロッカーだ。さあ、そうとわかれば教科書なんてさっさとしまって、先生のお話をよ~く聞くように。お楽しみのロックの授業の始まりだ。ではジャック先生、まずはデューイ役についてお願いします!!

「ウム。デューイはほとんど俺自身だったから、事前にリサーチする必要はなかったね。彼はちょうど5年前の俺と同じなんだ。こうやって成功する前の、家賃も払えなかった時代。いまでもあの頃のことはよく憶えてるよ(しみじみ)」。

 デューイは自分が結成したバンドから〈お前はダサイ〉と追い出され、仕事もなく、結婚して堅気になった元バンド仲間の家に居候中。しかもそこの奥さんから、もの凄く嫌われてるダラしない男。そんな彼が金のため、身分を偽って小学校の教師に! といってもまともに教えられることなんて、ロック以外にないでしょ。ゆえに映画ではそのムチャな授業が最高なのだが、撮影の現場で子供たちの本当の〈ロックの先生〉だったのは、なんとジム・オルークだったとか。

「子供たちはジムに付いて3、4時間くらいやってたね。俺は1時間くらい。子供はもの覚えが早いから、あっという間に追い抜かれたよ。だから〈スクール・オブ・ロック〉(劇中で子供たちが結成するバンド)には自信があった。とりあえず技術面は子供たち、俺は情熱担当(笑)!」。

 デューイの授業といえば、ロックの歴史から始まってロック的パフォーマンス術や、正しいシャウトの仕方、挙げ句の果てには〈宿題〉として、先生から生徒ひとりひとりにロックの名盤が手渡されたりする熱の入れよう。

「(使用された曲の)ハードロックものは(リチャード・)リンクレイター監督が選んで、俺はヘヴィーメタルを選曲した」らしいが、なるほど劇中ではAC/DCのライヴ映像を教材にして、転げ回るアンガス・ヤングの姿から子供たちが〈ロックを学ぶ〉シーンがあったりも。そこで気になるのはジャック自身のロックの先生、それは一体……。

「いろいろだけど、AC/DCからはヘヴィーメタルとコメディーのコンビネーションの絶妙さを学んだな。ヴァン・ヘイレンもいい。デヴィッド・リー・ロスはかなりコメディックだ。……あと、好きだと告白するのは恥ずかしいアーティストも……ここだけの話、ビリー・ジョエルとか(笑)」。

 ではお待ちかね。テネイシャスDとして音楽活動も展開するジャック先生に、ここでとっておきのロック・パフォーマンスをひとつ教えてもらいます。みんな、よく聴いて!

「ナニ? 〈D〉の秘密を教えろって? それはシェフに秘密のレシピを訊くようなもんだぞ(笑)! OK、じゃあひとつだけ。いいか、人間は普段50%しか歌えない。というのも息をしなくちゃいけないからだ。しかし、俺は100%歌い続ける方法を見つけた。つまり、息を吸いながら歌うこと……ウォオオオオアアアアアアアアア~(突然、強烈な裏声シャウト!)……な、スゴイだろ」。

 スゴイです、声もその顔も。とにかく映画「スクール・オブ・ロック」は、そんな無邪気なまでの〈ロック愛〉がいっぱい(女校長が酔っ払ってやるスティーヴィー・ニックスのモノマネとか)。そして、子供たちの笑顔に〈ベンキョーってなんだろう?〉とふと思わせる瞬間も。だからこそ、最後は先生のこんな言葉で。

「良い教師の条件っていうのは、自分が教えているものが本当に好きだってこと。教えることに情熱を持っていないとダメなんじゃないかな」。

 納得。というわけでこの授業はここまで。あとは各自、劇場で「スクール・オブ・ロック」をたっぷり楽しむこと。もちろんエア・ギターは忘れずに!

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