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特集

George Michael(4)

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2004年04月22日 18:00

更新: 2004年04月22日 18:36

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

文/出嶌 孝次

スキャンダルをくぐり抜けて……完全復活へ

 しかし、救いの手は差し伸べられた。仔細は省くが、95年7月にはソニーと和解し、北米ではドリームワークス、それ以外の地域ではヴァージンと契約したジョージはようやくレコーディングに入る。そして6年ぶりに登場したアルバムが『Older』だ。前述の“Jesus To A Child”、エモーショナルなディスコ・チューン“Fastlove”とシングルは連続して全英チャートを制し、アルバム自体も深い翳りに満ちた美しいヴォーカル・アルバムとして高い評価を得た。

 事件はそんなさなかの98年4月、ビヴァリーヒルズで起こった。とある公園内の公衆トイレにて、ジョージは私服パトロール中の男性警察官を相手にペニスを露出し、公衆猥褻罪で逮捕されてしまったのだ。罪自体よりもそのシチュエーションこそが格好のスキャンダルとなり、ジョージはピンチに立たされた……はずが、それを逆手に取って彼はついに自身が同性愛者であることを初めて公にし、不当逮捕をアピール。ダメ押しに事件をテーマにした新曲“Outside”で挑発してさえいる(プロモ・クリップではトイレで警官の格好をしたジョージが踊りまくり、男性警官同士がキスをして終わる)。同曲を含む2枚組ベスト・アルバム『Ladies & Gentlemen:The Best Of George Michael』(この表題もトイレを暗示するもの)もヒット。ただ、それはあくまでも突発的なモチベーションの昂揚だったようで、恋人や母の死はずっと心に影を落としていたようだ。翌99年にはフィル・ラモーンを共同プロデューサーに迎えたカヴァー曲集『Songs From The Century』をリリースし、作品自体は高品質なものだったが、その背景に創作活動の不調が透けて見えたのも事実だ。

 が、ジョージは戻ってきた。沈黙を破った2002年、サンプリング・ノイズが強烈な“Freeek!”、英米の首脳を痛罵した“Shoot The Dog”と立て続けにシングル・ヒットを飛ばしたのだ。さらには古巣のソニーに復帰を果たし、このたび8年ぶりのオリジナル・アルバム『Patience』を完成させたばかりである。ポール・マッカートニー、エルトン・ジョンと並び称される英国最高のシンガー・ソングライター、ジョージ・マイケル。はじめからスターだったこの天才は、あらゆる苦難を新たな音楽に変えてしまう。その天賦の才が真に発揮されるのは、まだまだこれからなのかも知れない。

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