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特集

JAZZE PHA
  90年代半ばにMCブリード絡みの作品で裏方活動を開始し、いまやトゥイスタやシー・ローの最新作にまで関わるジェジー・フェイ。客演も含めて圧倒的にヒップホップ仕事の多い彼だが、アトランタを拠点に創作活動をするヌーンタイム・ミュージックの一員として南部ヒップホップを手掛けながら、歌ゴコロを弁えたR&B曲も多く生み出している。R&B仕事の増加は90年代後半から。LSGやテリー・デクスターをはじめ、TQ、メン・オブ・ヴィジョン、デイヴ・ホリスター、アイディアルなどの作品で、タイトなビートを疾走させつつインパクトのある音を作ってきた。トニ・ブラクストン“Gimme Some”やアリーヤの没後発表曲“Don't Worry”なども聴いた瞬間にそれとわかる音で、アコースティック・ギターを鳴らしながら拍を強調したトラックは、タンク“I Wanna Be That”やモニカ“That's My Man”、ルーベン・スタッダード“Play Our Song”にも継承。先頃話題を呼んだATL“Calling All Girls-Remix”も含め、個性的でも常に斬新さを失わないところが魅力だ。(林)

WARRYN CAMPBELL
  ブランディのツアー・バンドでキーボードを弾いていたこともある西海岸の才人。敬虔なクリスチャンでもある彼は、ヨランダ・アダムズらのアーバン・ゴスペル系、もしくは世俗アーティストでもケリー・プライスなど教会色の強いR&B曲をやっている人を多く手掛けている。ドゥルー・ヒル“Angel”のような壮大なバラードから、メンバーの片割れが奥方となったメアリー・メアリー“Shackles(Praise You)”のような快活なダンス・チューンまでを上品に仕上げ、ヴォーカルを美しく引き出すのが上手い。トータル、702、ブランディ、アンジー・ストーン……と女性アーティスト仕事が目立つ一方、シスコやウッディ・ロック、マリオ、ルーサー・ヴァンドロスらバラードが得意な男性シンガーとも相性抜群。アヴァントの最新作でもそれを証明してくれたが、テリ・ウォーカー“Guess You Didn't Love Me”など、やはり女性シンガーの歌声を華やかに響かせる技はさすが。クリスティーナ・ミリアンの全米デビュー作にも起用され、今後はさらに幅広い活躍が予想される。(林)

ROY "ROYALITY" HAMILTON
  リズム&ブルースの偉人とは同名異人。ミドルネームのとおり、あらゆる意味において〈やんごとなき〉手法でスムースかつフレキシブルに音作りをするプロデューサーだ。90年代後半からR・ケリー関連作でドラム・プログラミングなどに関わってきた彼は、主に濃厚な歌声を持つ男性ヴォーカリストとの仕事を得意とする。一時テディ・ライリーのプロダクションにも籍を置き、2000年にはプロファイル“Liar”やK-Ci&ジョジョをテディと共同制作。半分近くを手掛けたキース・スウェット『Rebirth』では時流に即した斬新な音作りでその名を知らしめ、最近もジョー『And Then...』やエイメン『I Don't Want You Back』で斬新な音を提供しながらオールド・ソウルを旨味タップリにネタ使いしたトラックを用意するなど、実に器用なところを見せている。ニヴェアやブリトニー・スピアーズ“(I Got That)Boom Boom”など、アイドル系との仕事も増えつつあるが、今後も守備範囲を広げてほしいものだ。(林)

THE UNDERDOGS
  そもそも西海岸をベースに活動していた中堅のデイモン・トーマスと、アノ人の息子=ハーヴィー・メイソンJrのコンビ。ユニット名の由来は、それぞれベイビーフェイスとロドニー・ジャーキンスのチームにいたのに、実作業に見合うクレジットが得られなかったから、という自虐的なモノだ。両師匠そっくりの音作りから流行モノまでこなす万能ぶりで、合体当初に放ったタイリース“I Like Them Girls”のヒット以降、活躍の場を広げていく。当初はギャラが高騰している師匠たちの代替チームみたいな印象もあったが……ソランジュ、マリオ、ジャスティン・ティンバーレイク、ステイシー・オリコやケリー・クラークソンなどを次々に手掛け、いずれもキャッチーな着地のさせ方が巧い。最新ヒットはルーベン・スタッダードの“Sorry 2004”。もはや〈負け犬〉とは呼べない売れっ子ぶりだ。(出嶌)

TRICKY STEWART
  レッドゾーン軍団を率いる大ボスで、逸材がひしめくアトランタでもアタマひとつ抜けた存在。もともとはショーン・ホールと組んで活動してきたが、コンビ解消後に大躍進。JTマネー“Who Dat”のヒットで弾みをつけ、マイアを筆頭にシャンテ・ムーア、チャーリー・ウィルソン、シスコなどを次々プロデュース。レッドゾーンからはテイマーやソレイ、ブルー・カントレルを世に出している。プロフェット・ジョーンズ“Woof”に代表される南部ノリのアグレッシヴな作風から上品系まで作風の幅がかなり広いのも魅力。近年はマイア『Moodring』中の数曲やブリトニー・スピアーズの“Me Against The Music”でポップ層にもいよいよ浸透しはじめた。(出嶌)


プロフェット・ジョーンズの2001年作『Prophet Jones』(Motown)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年04月15日 17:00

更新: 2004年04月15日 19:35

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

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