THEO PARRISH 屈折する星くず
〈デトロイト〉の後に〈コズミック〉という言葉を続けたら、ほとんどの人はムーディーマンかこのセオ・パリッシュのことを思い浮かべるだろう。DC出身で、シカゴで暮らしていた折にハウスの洗礼を受けたセオは、90年代半ばにデトロイトに移住。そして、デトロイトの漆黒に星の雨を降らせるひとりとなった。95年にムーディーマン主宰のKDJからデビューした彼は、97年より自身のレーベル=サウンド・シグネイチャーを主戦場に比類なきソウル・トラックをリリースしはじめる。翌98年のファースト・アルバム『First Floor』は黒く濁った叙情的なマシーン・ソウルの傑作として説明不要だ。そんなセオがこのたび久々のオリジナル・アルバム『Natural Aspirations』をリリースした。今作はローテーティング・アセンブリー名義を用いており、同名義を用いる理由はこれまでになく多くの演奏家を起用している点にもあるようだ。もちろん、縦横にドライヴするベースが心地良い冒頭の“Mess I Made”からセオならではの音世界は横溢。宇宙を圧縮してそこから濃厚なブラックネスを抽出する彼の捻れた魔法は今回も効きがいい。
▼セオ・パリッシュの作品を紹介
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