SPACE ODAYSSEY(2)
LAURENT GARNIER
『Excess Luggage』 F Communications(2003)
清原ばりに〈番長〉の名が似合うガルニエの最新ライヴ・ミックス集はCD3枚組! Disc-1はディープ・デトロイト寄りな側面も見せる〈Sonar〉でのプレイ、Disc-2はエレクトロ寄りセット@デトロイト、Disc-3はネット・ラジオ〈PBB〉でのショウ。セットごとに見せるヴァラエティーの巧みさが光る。たぶん店頭在庫のみなので発見したら即確保!(佐山)
STACEY PULLEN
『Fabric 14』 Fabric(2004)
デトロイトの黒人DJ特有の肉感的でグイグイ腰にくる選曲&ミックス、ところどころでカット・インされるダンクラな声ネタにもニヤリ。そして絶妙なタイミングで絞られるアイソレーター使いがこれまた最高! サイレント・フェイズ名義ではアフロ/トライバル的なイメージも色濃い、クールなアルバムをリリースしているのでそちらもチェック!(ビグフォン)
DWELE
『Subject』 Virgin(2003)
バハマディアらのプロデュースで注目を集め、リクルースやスラム・ヴィレッジ曲へのフィーチャーを受けて待望感が爆発したドゥウェレがほぼ全編をセルフ・プロデュースで作り上げたファースト・アルバム。輪郭のはっきりしたメロディーがドラマティックな“Find A Way”、ジャイルズ・ピーターソンらが絶賛した“A.N.G.E.L.”などなど、ネオ・ソウル的なフォーマットと蒙昧としたデトロイティッシュなアーバン・ヴァイブとが融和した、どう考えても名曲と呼ぶしかない名曲が無闇やたらに押し寄せてくる作りは圧巻! 甘い糖蜜が舌先でとろけるようなメロウ・グルーヴに、マーヴィン・ゲイを思わせるコーラス・ワーク、引きずるようなアドリブ……それらすべてが美しく溶け合った超傑作だ。深い時間になると聴きたくなる一枚。(轟)
MATTHEW DEAR
『Leave Luck To Heaven』 Spectral/Ghostly(2003)
テキサス出身、デトロイトを拠点に活動するマイクロ・ハウサー、マシュー・ディアの初フル・アルバム。ファルスとしてリッチー・ホウティンのレーベルからもリリースしている彼だが、本名義ではもう少しダンス・オリエンテッドなミニマリストぶりを発揮。幾重にも重ねられたシンセが紡ぎ出す耽美的なデトロイト風情はここにも。(轟)
ROBERT HOOD
『Wire To Wire』 Peacefrog(2003)
このところ好調なリリースを重ねており、2003年にはモノボックス名義でのアルバム『Molecule』も残しているURきってのクール・ガイ、ロバート・フッド。ミニマル世界を極めたその『Molecule』から間髪入れずに届けられた本作は、ロマンティックなストリングスとディープなヴァイブが飄々と漂うデトロイト・カラー強めな一枚に。ハズしません。(轟)
3000
『The Source For Innercity Technology, Music And Culture』 Submerge(2003)
DVDばりのパッケージながら、これはエンハンスト映像をメインとしたCDマガジンだそうで……エレクトロファンク総帥のMrディを中心に、ジェフ・ミルズやジェイムス・ペニントンらも登場。ボーナス扱いで、アップリフティングなガラージ・トラックも収録。そっちはCDプレイヤーで。(佐山)
JOHN ARNOLD
『Neighborhood Science』 Ubiquity(2003)
ここ数年のデトロイト・ミュージックを語るうえで欠かせないキーマンのひとり、ジャズ・ギタリストのジョン・アーノルド。幼い頃からピアノに習熟し、両親の影響でスティーヴィー・ワンダーをコピーしはじめた彼は、大学でジャズを専攻しつつジャズヘッドというバンドを結成し、カール・クレイグに見い出されている。98年にジャズヘッドのアルバム『Jazzhead』をリリースした後はアイロと組んだLSEなどを経て、トランスマット傘下のフラジャイルから“Sparkle”でソロ・デビュー。ユビキティから登場したこのファースト・アルバムはアンプ・フィドラーの勇壮な歌が熱い変拍子ファンク“I Can Be”、アイロも参加したハービー・ハンコック“Rough”のフューチャー・ショックなカヴァー、マリック・アルストンのビターな歌が素晴らしい圧倒的なフュージョン・ソウル“Inside”など、現デトロイト・ソウルの粋が集結した一大ソウル絵巻。安易な比較はアレだが、スティーヴィー・ワンダーの三部作にも比肩するテンションと濃厚なコズミック・ソウルのウネリが体験できる超興奮マスト作。(出嶌)
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