GEORGE CLINTON 地球に落ちてきたファンクの現人神
誕生の地はニュージャージーながら、デトロイトをめざし、かの地のビートを基盤にサイケデリックかつアーバンなサウンドを弾き出したPファンク軍団。総督であるジョージ・クリントンは、コズミックなキャラクターを打ちたてて時には宇宙で、またある時には水中で、おどろおどろしくも滑稽な戦いを繰り広げながら、それでもファンクは不滅だと唱えたお方である。その路線の出発点となったのはパーラメントの76年作『Mothership Connection』。UFOに乗ってデトロイトの(?)黒人ゲットーに〈超グルーヴな洗練ファンク〉を運んできた。ファンタジーに現実が宿る? そんなことをクリントンは、77年のライヴ盤『P. Funk Earth Tour』に収録されたスタジオ録音曲“Fantasy Is Reality”で叫んでいたが、同曲をクリントンらと共作したリオン・ウェアもデトロイト出身。そのリオンはのちにマクスウェルのデビュー作に楽曲提供することになるが、そこでキーボードを弾いていたのがアンプ・フィドラー……と、そんな回りくどい言い方をせずとも、80年代中期、アンプのクールな壊れ方はすでにクリントン直々に買われていた。マザーシップに乗って運ばれてきた、あるいは『The Clones Of Dr.Funkenstein』(パーラの76年作)でファンケンシュタイン博士に創造されたクローンのひとつとしてデトロイトのゲットーを這い回っていたファンキー・ワームは、いまようやく〈Fly〉=ハエに孵化して空中を舞っている。
▼アンプ・フィドラーの参加したジョージ・クリントン関連作品
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