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特集

スピリチュアル・ジャズの偉人たちを紹介!!

ジョン・コルトレーン――『私は聖者になりたい。いや、大マジで!!』

 〈できるだけ神に近づきたい〉〈私は聖者になりたい〉など、晩年のジョン・コルトレーンの発言には宗教的なものが多い。宗教的=スピリチュアルとは限らないが、神との対話という領域で音に取り組んでいた晩年の彼の創作活動は精神世界に拠るところも大きかった。既成のリズムやコード進行から解放されるべく繰り広げられた即興演奏は、人間的にもさらなる高みへと飛翔しようとしていた彼の姿そのものだったのだ。また彼は練習熱心であることでも有名。名を成してなお謙虚さと探究心を失わず、自己の内面と向き合いながら音楽作りに励んでいたその真摯な姿は、まさに〈求道者〉。サウンドや演奏スタイルといった表層的な部分だけでなく、その精神性や生きざまにおいてもコルトレーンが後のアーティストに与えた影響は計り知れない。
▼ジョン・コルトレーンが晩年に残した名盤の一部を紹介

レオン・トーマス――『スピリチュアル・ヨーデルといえば俺!!』

 70年代のスピリチュアル・ジャズ全盛期を彩った人物として、スタンリー・カウエルやマリオン・ブラウン、ダグ・カーンらと共に名前を挙げられるのがレオン・トーマス。ファラオ・サンダース“The Creator Has A Master Plan”での名唱でも知られる彼は、ファラオと数多くの作品を残し、咽を器楽的に鳴らすことで生まれるヨーデル的ともいえる独特な歌唱スタイルを特徴としている。本能的/動物的でありながらもメロウネス溢れる歌声は、魂の叫びがダイレクトに音像化しているようでもあり、深い精神性に支えられた楽曲をより神秘的かつ瞑想的なものにしていた。
▼レオン・トーマスの作品を一部紹介


70年に行ったライヴを収録した『In Berlin』(RCA/BMG France)


73年作『Full Circle』(RCA/BMG France)

サン・ラー――『ワシは宇宙からの使者なのだ!!』

 みずからを〈宇宙からの使者〉であると公言し、宇宙との交信というモチーフや独自の宗教性、思想性のもと、常識を覆すような実験的演奏/パフォーマンスを繰り広げていたサン・ラー。デューク・エリントンに大きな影響を受け、ジャズに立脚しながらもその域を軽々と超えてしまっているフリーフォームな演奏は、もはやジャンル分け困難。その独特の宇宙観に基づいた音楽は聴き手の想像力を掻き立て、想いを宇宙へと導いていく。ただこの人の場合、単純にワクワクさせてくれるようなビートや、オルガンを一発〈ビャ~ン!!〉と鳴らすときの大道芸的側面もたまらなく魅力的なんだけど。影響を受けたアーティストは多数。ジャンルの枠を超えて多大なリスペクトを集めている。
▼サン・ラーの作品の一部

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年02月12日 14:00

更新: 2004年02月12日 17:59

ソース: 『bounce』 248号(2003/10/25)

文/吉村 健

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