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特集

スピリチュアル・ジャズの大海原に飛び込もう!!

SPIRITUAL JAZZ

 60年代後半、公民権運動の盛り上がりはさまざまな文化に対して強烈なインパクトを与え、アフリカン・アメリカンのなかに共通意識を生みだします。それは〈ブラック・パワー〉と呼ばれ、黒人文化がもっとも先鋭化した時代を作り出していくことになるわけですが、ジャズの世界でもそんな時代の匂いを敏感に感じ、自身の音楽へと反映させていったミュージシャンたちが数多いました。そんな時代背景をバックに、深い精神性とそれに伴うスケールの大きな音楽性を創造していたものが今日〈スピリチュアル・ジャズ〉と呼ばれているもので、それはまた今日クラブ・サイドからの再評価の対象にもなっています。より自由に、より遠くまで……そんなジャズメンたちの欲求が形になったスピリチュアル・ジャズ。それは音楽の一形態のことを指すもののみならず、黒人文化が新たなるヴィジョンを獲得した瞬間でもありました。(編集部)

いまこそファラオ・サンダースの音を浴びよう!! JOURNEY WITH PHAROAH


「彼の音楽って持っている世界が広くて、後からいろいろとポイントを付け加えることができたから……」と言ったのは、ファラオ・サンダースのクラブ・ミュージック側からの再評価機運を作った最たる人である、元ガリアーノのロブ・ギャラガー(現トゥー・バンクス・オブ・フォー)。彼はガリアーノ時代にファラオの曲を大々的に引用しているが(“Prince Of Peace”)、その発言は、なぜ彼の曲に着目したのかという問いに対しての答えだ。

  そう、ファラオはジャズの世界を歩んできた人であるのに、異常に情報量が多い。まずなんといっても、サックス自体の演奏が過剰。でもって音楽性も同様で、そこにはリアルなジャズの流儀がズシンとあるが、それと共に豊かなグルーヴやメロディーが散りばめられ、またアフリカ音楽やラテン音楽をはじめとするさまざまな音楽語彙をそこに認めることができる。言ってみれば彼の音楽はマジなジャズであると同時に、得難いブラック・ポップであり、真のフュージョンでもあった!

「君はそう言うけれど、僕はベストと思えるものをそのつど出してきただけさ。人々が音楽を聴いて感じること、思うことはほとんど違うからね。みんな、やりたいようにやっているんだと思う。僕も同様にやりたいように音楽をやって、いろんな違った音を出している。音楽は好きに作っていいし、それが可能なのが音楽なんだ」。

 ああ、自由の人であり、オイラの人。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年02月12日 14:00

更新: 2004年02月12日 17:59

ソース: 『bounce』 248号(2003/10/25)

文/佐藤 英輔

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