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特集

〈もうひとつのジャズ〉の魅力

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2004年02月12日 14:00

更新: 2004年02月12日 17:59

ソース: 『bounce』 248号(2003/10/25)

文/bounce編集部

ジャズとはあらゆるものの突破の歴史だ。ジャンルや自己の限界を突破するアウトサイダーの音楽だ。今回はスピリチュアル・ジャズ、フリージャズを中心に、〈もうひとつのジャズ〉の魅力に迫ってみるぞ!!

ところで、ジャズってなんだ!?──まずはCalmによるイントロダクションから

 音楽をジャンルなんていう小さな枠組みで捉えるものではない。これは以前に自費出版した「Bound for Everywhere」やいろんなコメントのなかで再三主張してきたことだ。世の中には結局良い音楽と悪い音楽しかないと思っている。そのなかでロックだのソウルだのジャズだのっていう、あくまでもフィーリング的な部分が強調されて、ジャンルという曖昧な枠組みを作り出しているのだと思う。もちろん、まったくの音楽入門者やショップのフロア分けなどで必要になってくる部分でもあるので、ここではあえてそのことを追求することはしない。ただ、ロックという括りのフロアにもジャズのフィーリングや精神を持った音楽はたくさんあるし、ジャズ・フロアにあるものすべてがそうかといえば、全然違ったりするものである。チャーリー・パーカーやジョン・コルトレーン、ファラオ・サンダースなどのブロウや彼らが作り出した音楽はジャズだし、マイルス・デイヴィスのエレクトリック・サウンドもジャズだ。ニック・ドレイクやティム・バックリーの狂おしい歌声も、ロバート・ワイアットやジョアン・ジルベルトの切ない歌声もジャズだ。初期のヒップホップが持っていた衝動やロブ・スウィフトのスクラッチでさえもジャズだと思う。セオ・パリッシュやムーディーマンなんかは間違いなくジャズだし、ときにはラリー・レヴァンのミックスにさえジャズを感じるときもある。〈こいつはなにを言ってるんだ?〉とバカにするやつもいるだろう。ただ悲しいことに、そういう輩は一生音楽を楽しめないで死んでいくんだろうな。

 一般的には〈アドリブ〉とか〈音楽理論に基づいた難解なコード進行やテクニック〉とか〈スピリチュアル〉だとか〈フリー〉だとか、ジャズを形作るキーワードはたくさんあるけど、それのみに捕らわれすぎた小さな音楽観から脱出することをオススメします。過去や未来は大切にすべきだとは思いますが、音楽には(ここではジャズには)過去も未来も存在しない。あるのは自分が生きる時代と現在進行形の気持ちだけだ。そんな気持ちで探し当てたものが、きっとここで言うところの〈ジャズ〉であろう。それが過去の作品であっても現代のサウンドであっても。この一見矛盾とも思える意見を少しでも参考にして新たな音楽ライフを送ってみてはいかがだろうか。

Calm

  先ごろ20人以上ものメンバーを引き連れたビッグ・バンド編成でのライヴ・パフォーマンスを行い、大好評を集めたCalm(来年にはこのときの模様を収めたライヴ盤&DVDもリリース予定!)。現在はDJとして日本各地をツアー中の彼がセレクションを手掛けた、ファラオ・サンダースのベスト盤もリリースされたばかり。Calmの最新アルバムは『Ancient Future』(ラストラム)

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