ALTERNATIVE POPS
いずれ劣らぬ強烈な個性ばかりのラインナップである。LSKのようにUK伝統のダブ解釈をめぐるサウンド・アプローチは相変わらず存在しているし、ダイドやシールはUSでの成功をものともしない良作を残している。メイシー・グレイはテクニカルかつアグレッシヴなパフォーマンスをそのまま音盤化してみせた。彼らは一様にポジティヴなムードを放っているが、そんななか、ダークなブルース・アルバムを発表したベス・ギボンズが唯一気を吐くという状況。総体的に見れば、マイペースな活動を展開するアーティストの活躍が目立った2003年だったと言える。(武山)
BETH GIBBONS & RUSTIN MAN 『Out Of Seasons』 Go Beat
ポーティスヘッドの音響と対等に響く歌声、ベス・ギボンズのソロ・アルバム。ラスティン・マン(元トーク・トークのポール・ウェッブ)によるアコースティックなサウンドは、彼女を包む一枚のヴェールでしかなく、スモーキーなブルースが闇の底へと誘う。
MACY GRAY 『The Trouble With Being Myself』 Epic
彼女の音楽はいかようにも受け取めることができるが、〈オルタナティヴ・ポップ〉の枠こそそれにふさわしいのではないか? ソウル・ミュージックの伝統をアヴァンギャルドに迎え入れる懐の広さったら、もはや異星人!!〈フジロック〉でのパフォーマンスも記憶に新しいところ。
LSK 『Outlaw』 Epic
UKにおいて、ことあるごとに試みられてきたダブへの接近。その間にもヒップホップやハウスなど、さまざまなエレメントが生まれてきている。そこで、2003年なりの落とし前を付けたのがこのアルバム。極上のポップ・ミュージックで〈アウトロー〉宣言したその姿勢が見事。クラッシュのカヴァーも納得だ。
DIDO 『Fife For Rent』 Cheeky/Arista
多少影はひそめたものの、尖ったサウンドがもてはやされる昨今において、〈真っ白〉な彼女の存在感は逆の意味でオルタナティヴといえるものだ。大ヒットしたデビュー作についでリリースされた本作が伝えるメッセージは、彼女と同様に〈いい歳の取り方〉をしている。
SEAL 『Seal 4』 Warner Bros.
なんと! 5年ぶりとなったニュー・アルバムであるが、そんなブランクを微塵たりとも感じさせない内容となった。トレヴァー・ホーン(こちらも2003年は勢力的に活動を展開)との蜜月も当時のままに、彼の輝けるヴォーカルは永遠のものであることを証明した。それは世界中のチャートからもあきらか。
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