JAPANESE HIP HOP/REGGAE その1
とにかく日本産ダンスホール・レゲエが元気だった2003年。ACKEE & SALTFISHのようなヴェテラン勢から待望のデビュー作を発表したYOYO-Cのようなキャリア組、そしてMINMIや湘南乃風のような新人まで、上から下までキレイに充実作が揃った1年でした。一方ヒップホップはというと、ZEEBRAをはじめOZROSAURUSやM.O.S.A.D.などが安定感がありながらも貪欲に〈その次〉を切り拓くような高品質の作品をドロップ。それらの作品にダンスホールのスパイスが加えられていたことも重要トピック。そうそう、ナチュナルなグルーヴを打ち出したLoop Junktionや瘋癲の存在も忘れちゃいけないね。(大石)
M.O.S.A.D. 『THE GREAT SENSATION』 MS
名古屋の風雲児集団、M.O.S.A.D.のファースト・アルバム。EQUAL、TOKONA-X、AKIRAという3MC、そしてDJにFIXERという鉄壁の布陣は今作で全国を席巻。凄みのあるリリックと凄まじいまでのサグ色を全面に押し出し、シーンにその存在感を知らしめた。(稲村)
DS 455 『DabStar Clique』 ユニバーサルJ
すでにヴェテランの域にあるDS455のメジャー・ファースト・アルバム。アガれるGファンクからメロウなスタイルまで、実にさまざまなウェッサイ・モードを展開し、説得力溢れる一枚に仕上がっている。日本のG系ヒップホップの頂点ともいうべき名盤の誕生。(稲村)
PUSHIM 『Pieces』 NeOSITE/キューン
過去最高のセールスを記録した、彼女にとっての代表作となるであろう一枚。日本各地のイヴェントをライターの灯火で明るく照らした“FOREVER”ほか名曲揃い。その揺るぎない歌唱は、PUSHIMこそが〈レゲエの顔〉であることを雄弁に語っている。2003年も泣かせてくれました。*大石
MSC 『MATADOR』 Pヴァイン
リリースするたびにクラシック化が事前に約束されているグループはそうそういないが、このMSCは数少ないそのうちのひとつだろう。東京・新宿を根城とする彼らが描く世界はまさに日本のゲットーそのもの。声高に言うつもりはないが、これが真のハードコア・ラップだ。(稲村)
OZROSAURUS 『JUICE』 FUTURE SHOCK/ポニーキャニオン
OZROSAURUSのセカンド・アルバム。新進気鋭のプロデューサー陣を起用し、結果的には世代交代をイメージさせるような作品に仕上がった。MACCHOのラップもよりスキルフルになり、ラヴソングからシリアスな内容までその懐の深さも発揮されている意欲作だ。(稲村)
MINMI 『Miracle』 ビクター
“The Perfect Vision”の超特大ヒットによってレゲエの、というよりは日本の音楽シーンのド真ん中に突如浮上したMINMI。ダンスホールとR&Bを同分量でルーツに持つ彼女のデビュー作には、彼女にしかできない絶妙な配合によるクロスオーヴァー・サウンドが展開されていた。2004年も楽しみです。(大石)
MIC BANDITZ 『SIXTH SENSE』 espionage/cutting edge
M-FLOのVERBAL率いる6MCからなるユニットの今作は、ジャンルレスなアプローチを展開しつつも、それでいてストレートなヒップホップの匂いがするところが好感度大。6MCそれぞれのキャラ立ちも際立っていて、新たなるヒップホップの可能性を垣間見せる一枚。(稲村)
瘋癲 『MUSIC IS EXPRESSION』 NEXT LEVEL/ファイル
トラックメイカー兼ドラムスのM.FUJITANIを不慮の事故で亡くしてしまったものの、精力的な活動を続ける瘋癲。記念すべき初アルバムには躍動感溢れるヒップホップが散りばめられ、心に響くソウル・ミュージックが詰まっていた。M.FUJITANIも今作と共に生き続ける。(稲村)
FIRE BALL 『BOOK OF LIFE ~炎の章~』 LIFE STYLE/東芝EMI
各地のビッグ・ダンスで重要な位置を占めただけでなく〈FUJI ROCK〉への出演まで果たし、急激に認知度を上昇させたFIRE BALLの2003年。その頂点は、彼らのキャリアが凝縮されたこのアルバムにこそあった。彼らが出てくると凄いんだ、タオルが。(大石)
YOYO-C 『THE SPECIALIST』 アルファエンタープライズ
出てみたら予想以上に凄すぎたYOYO-Cのデビュー作。ダンスホール・スタイルに囚われないサンプリングを多用したトラックも斬新だったが、そのルーディーなDJイングはレゲエ・シーンにおいてもひときわ際立っていた。2003年度のベスト・ディスクの声も?(大石)
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