こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年12月04日 18:00

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/新谷 洋子

結局、ピンクはピンクだ!!

 また、自分のことを語るのに飽き飽きしていたというだけに、詞の内容も前作とは大きく異なる。

「他人に目を向けている曲も多くて、例えば“Save My Life”はドラッグから足を洗ったのに結局逆戻りしちゃった友人のことを描いているし、“Unwind”では大好きなジャニス・ジョプリンを題材にしているの。と言いつつ、途中で自分のことを重ね合わせて書いてるって気付いたんだけど(笑)。そんなわけで相変わらずパーソナルな詞だけれど、前作みたいに辛い内容じゃないってこと」。

 従って、『Missundaztood』を〈元不良娘の告白〉と要約するならば、本作は24歳になった大人としてのピンクの実像を伝えるアルバムだ。ピーチズ(過激なライムで知られるカナダ人の女性ラッパー/プロデューサー)をゲストMCに迎えた“Oh My God”では女性の視点からセクシュアリティーを赤裸々に語り、ボーイフレンドに捧げた“Love Song”では優しく傷つきやすい一面を晒し、ダンス・アンセム“God Is A DJ”ではスピリチュアルで開放的な人生賛歌を歌い上げる──といった具合に。このようなサウンドとリリック両面での潔い方向転換からも窺えるように、彼女はセールスの行方などまったく気に掛けてはいない。

「ただ単に自分に正直でいたいだけで、人がどう感じようと、これが〈今のわたし〉なのよ。基本的にイージーな道は避けるようにしてるし、わたしは苦闘するのが好き。壁をブチ壊すのも大好き。この業界では女性が男性と同じ地位にいるとはまだまだとても言えないから、世の中にはもっとアグレッシヴな女性が必要だわ。誰も候補がいないなら、わたしが喜んで先頭に立ってあげるわよ」。

 そう、『Try This』=〈試してみようよ〉という本作の挑戦的なタイトルもまた、ピンクの強いリーダー意識を映し出したものだ。

「人間はリーダーとフォロワーに二分できると思うの。で、他人のお尻にくっついていくほうが楽な生き方なんだろうけど、先頭に立って自発的に行動を起こし、ほかの人たちをインスパイアできると、ものすごく気分がいいのよ。その気持ち良さをみんなにも味わってほしいな、というメッセージを、このタイトルに込めているの」。

 そんな彼女の最終目標? 「大統領になってすべての法律を変え、あらゆる動物を解放して、代わりに人間を鎖で繋ぐこと」である。

「人はわたしのことを、タフでワイルドでなんにも考えてない人間だと思ってるようだけど、大きな誤解だわ。ほんとはものすごく繊細なの。アーティストとしてどれだけ成功しようと、常にどこかでフラストレーションを感じていると思う。もちろん金銭的には助かるし、家族の面倒を見たり動物愛護に協力することもできる(彼女は動物愛護団体〈PETA〉のメンバーで捨て犬を何匹も引き取って飼っている)。でも、結局はハイスクール時代と同じ。当時は数百人の子供たちの目に晒され批評されてきたわけだけど、今は恐ろしいことに、全世界を相手にしているってこと。それって、わたしみたいなセンシティヴな人間には、結構ハードな現実なのよ(笑)」。

▼ピンクのアルバム『Try This』に参加したアーティストの作品を紹介

インタビュー