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特集

Britney Spears(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年12月04日 18:00

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/沼崎 敦子

充実を極めるサポート陣

 
 彼女は昨年の夏、前作のワールド・ツアーが終了したあと長期の休業に入ると発表していたが、実は3週間休んだだけで、計画を変更してスタジオに入り、ニュー・アルバムの制作に取りかかったのだそうだ。それからアルバム作りはなんと8か月にも及んだという。

「今までのアルバムは考えたりしてる時間なんてぜんぜんなかった。ずっとせき立てられてる感じで。でも、今回はじっくりやりたかったからもっと長い時間をかけて作ったの。だからやりたいことができたし、一緒に仕事をしたいと思った人全員と仕事ができたのよ」。

 起用されたのはモービー、マトリックス、R・ケリー、P・ディディ、イン・ヤン・トゥインズ、レッドゾーン、ブラッドシャイ&アヴァントなどなど。誰もが競い合うように最先端のサウンドを提供しているのは、さすが。

「一緒にやってみたいと思ったプロデューサーを起用して、歌やサウンドなどにいろいろ注文付けたりしながら私の求める方向に一緒に進んでいったわけ。だけど、その途中のいろいろ実験している過程で、おもしろいサウンドやスタイルが生まれてきたって感じなのよね」。

 なにより顕著なのは洗練されたアーバンなクラブ・フィーリングが全体に貫かれていることだが、これは彼女が21歳になって堂々とクラブに出入りすることができるようになったということと無縁ではないようだ。

「クラブにいて友だちとワイワイやったりなんかするのが大好き。だから、そこからヒントを得ることが多かったと思う。ダンス・ミュージックが好きで、クラブに行って踊るのが好きなんだもん、当然よね」。

 先行シングル“Me Against The Music”をプロデュースしているレッドゾーンはアトランタに拠点を置くプロデューサー・チームなのだが、白人のポップ・シンガーを手掛けるのは稀なこと。

「彼らはとにかくクールな人たち。新進気鋭で、ハングリーで、ヘンなエゴがなくて、とにかく楽しんでやってるって感じが気に入ったの。一緒に仕事するには最高のチームよ」。

 ブリトニーがいちばん印象的だったというコラボレーションは、モービーがプロデュースした“Early Mornin'”だとか。

「彼はほんと、イカシた人だった。彼が書いてくれた曲は驚異的だったし、すごく才能豊かな人だったし、スタジオでも素敵だった。彼が私に歌を聴かせてくれて、それがすごく気に入ったから、そのあとでスタジオに入って……歌入れは一人でやったんだけど、とにかく彼と一緒に仕事ができるなんてほんと嬉しかった。とっても好きな人だわ」。

 シンガーとしての成長ぶりも大きな変化のひとつだ。先行シングルとなった“Me Against The Music”では早口唱法、“Brave New Girl”ではラップなど、いろいろな新しいスタイルに挑戦し、それが結果的に音楽の幅を広げることにも繋がった。

「そうね、スタジオに入るたびにどんどん良くなってくるって感じなのよ、ほんとに。もうアルバム作りも4回目でしょ。だから、積み上げてきたものも大きいと思うの」。

 ラップはどうやって習得したんですか?

「独学よ。いろんな歌を聴いていれば、やり方は自然にわかるようになるわ。別に本格的なラップをやろうなんて気持ちはないの。私は自分ならではの音楽が好き。ポップ・ミュージックに合わせてラップしたりするような音楽をやるのは好きだけど、ハードコアなラップものは好きじゃないわ。そういうのって、私じゃないもの。でしょ?」。

 ダンス・ミュージックやヒップホップの要素を採り入れ、ぐっとモダンに、大胆な変貌を遂げた『In The Zone』。しかし、たとえ彼女の初期の成功を支えたマックス・マーティンと袂を分かったにしても、今もポップ・ミュージックから離れるつもりはないとブリトニーはキッパリと断言する。

「私は今だってポップ・ミュージックが大好きよ。成長して、もっと違った方向性を探ってはいるけれど、これが私なりのポップ・ミュージック。ネクスト・レヴェルに進んだポップ・ミュージックなのよ」。

 大きな変化に戸惑うファンはいるかもしれないが、きっと受け入れてくれると信じているという。信念を持って新しい世界に踏み出したブリトニー、そこにはもう曖昧な少女の迷いは微塵もないのだった。

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