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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年11月27日 13:00

更新: 2003年11月27日 16:55

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/石島 春美

こだわりから生まれる〈DOUBLE〉像

 ジャネット・ジャクソンに影響されたという彼女は、激しくフィーチャリスティックなトラックも絶妙なフロウで歌い切ってみせる。“Betcha”のようにしっとりしたミディアムがツヤツヤ感のツボであるのは言うまでもないが、“Souljah”“Disturbance”“Rollin' on”“Had To”といったハードな楽曲では、彼女の大きな魅力のひとつである卓越したリズム感を存分に堪能できるだろう。これらの軽快かつハードなヴォーカルのフロウもまさに艶そのもの。そうしてヴァラエティーに富んだ内容を彼女色で染め上げてしまう個性も素晴らしいが、彼女のR&Bな耳はもっと欲深く、ミックスのバランスへのこだわりも相当なものだ。

「今回は向こうのR&Bのミックスを相当意識して作ってます。前作よりもっと派手にしなきゃね、って。R&Bって日本の他の音楽のミキシングと違って、中音域から低音域が大事でしょ? エッジを効かせるにはミックスのバランスがとても大事なんです。デモの段階ではそうではなくても、ミックスが終わってバキバキになってたりとか。“Wonderful”みたいなデジタル系の曲はシャラシャラした高音を強調してしまいがちですけど、どうしても気に入らなくて、R&Bを意識してやり直したくらいなんです。“Betcha”のゴー・ホトダさんのミックスなんか、すごい豪快ですよ」。

 DOUBLEの曲がUSのR&B漬けの耳にも自然に聴こえるのは、「比べればわかりますよ」という彼女の一言で納得。そんなR&BフリークなTakakoだが、今作ではトニ・ブラクストンの名曲“Breathe Again”のカヴァーをしたり、“Okaeri”では初めてすべて日本語詞で歌うなど、チャレンジ精神も旺盛だ。

「私がジャネットやアリーヤをカヴァーしたらそのまんまになっちゃうじゃないですか。トニは声が低いから、私なら違ったアプローチができるかなと。ベイビーフェイスは大好きだし、原曲が完成されているのでアレンジはあえていじってません。“Okaeri”はアルバムの最後に作った曲。友達の旦那さんが毎日午前まで働いてるって聞いて、大変なんだなーって気持ちから出来たんです。あと、自分自身にという気持ちもあったかな。癒しの曲なんだけど、R&Bの曲に日本語でメロディーを付けるのは簡単じゃないですよ。英語で歌ったほうが楽。でも、この曲はカタカナすら使ってないんです」。

 挑戦こそすれど、決して踏み外さない。なぜならDOUBLEには信念があり、常にその理想に向かって成長してゆくからだ。

「男性が作り上げるアイドル像には染まりたくないです。男の人と女の人の好みって違いますよね。私は女性の目から見てクールに、あくまで自分らしさを出していきたいです。キレイでクールにっていうのは、やっぱり夢を与えていきたいから。演じてることに疲れる時はありますよ。でも、素をさらけ出すのは楽でしょう? 私は幻想を抱かせ続ける存在をめざせたら、と思っています。私自身そういう人に憧れてきたから」。

 R&Bをやることへのこだわり、いい女でいることへのこだわり、さまざまなこだわりが彼女をいっそう輝かせる。R&Bへのストレートな感性が溢れた新作『Wonderful』は、ナチュラルなDOUBLEにもっとも近付ける作品と言えるだろう。

▼『Wonderful』に参加したアーティストの作品

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