二十世紀のポップ・ミュージックを作り変えた4人の天才たち(4)
リンゴ・スター ── その愛すべきキャラクター
モーニング娘。で言うところの保田圭的といいますか。いやもっとこう、旧UWFの山崎一夫的といいますか。つまりリンゴってそういう存在。ロック史上屈指の〈愛すべきキャラクター〉なわけですよ。だってビートルズ解散騒動でゴタゴタしてる真っ最中、70年3月にリリースされたファースト・ソロ・アルバムの『Sentimental Journey』。小さい頃に聴いたスタンダード・ナンバーをクインシー・ジョーンズ、オリヴァー・ネルソンら一流アレンジャーにゆだね、リンゴ自身はボンヤリ歌い上げるだけという呑気な内容ですよ。あまつさえそれからわずか半年後にリリースされた『Beaucoups Of Blues』。今度はナッシュヴィルでカントリー歌っちゃって、そんなに急いでやることでもないだろうっていう、激動の時期を終始やる気があるんだかないんだかわからない状態で切り抜けた男ですよ。そんなリンゴのイイ奴っぷりにみんなが惹かれて出来上がった傑作が73年のソロ3作目『Ringo』で、解散後初めてジョン、ポール、ジョージの名前が同じ盤面にクレジットされたのに象徴される、豪華なトモダチたっぷり参加の傑作。〈With A Little Help From My Friends〉と、お決まりのビートルチックに言いたくなるリンゴの黄金時代であります。ただ、後年は〈ほっとけないよ〉と楠瀬誠志郎チックに言いたくなる凋落っぷりを見せるわけですが。ともあれ、一聴してわかるドラミングとともに、その人柄が個性とプライドの強いビートルたちをつなぎ止めていたわけで、リンゴがいなけりゃやっぱダメなのです!(堀 雅人)
▼リンゴ・スターのキャラクターが滲み出るようなソロ代表作をご紹介。