二十世紀のポップ・ミュージックを作り変えた4人の天才たち(3)
ジョージ・ハリソン ── ビートルズを支えた名脇役
ビートルズにおけるジョージ・ハリソンの存在は、終始〈脇役〉でした(リンゴの場合、映画出演のときに限っては主役だったけど)。しかし、ジョンやポールの陰でキラッと輝いてたその才能、かなり立派なものです。ビートルズ・ナンバーの中からジョージの作品をピックアップしてみると、“I Need You”“If I Needed Someone”“It's All Too Much”“While My Guitar Gently Weeps”……。とはいえ、ビートルズでは、いくらガンバっても所詮は脇役(アルバムに収められるのは2曲まで、という制約もあったし)。でも、〈僕、ガンバってるんだぞ!〉的な悲壮感はなくて、虎視眈々とチャンスを窺ってる感じがまた良い(上原多香子か!)。そんなジョージにチャンスが巡ってきたのは、やはりビートルズ解散後なのでした。70年、共同プロデューサーにフィル・スペクター、ゲストにレオン・ラッセル、デイヴ・メイソンらを迎えて制作され、自身3枚目となったソロ・アルバム『All Things Must Pass』は、まさに快心の一発。当時レコードで3枚組全23曲、シングル・カットされた“My Sweet Road”も世界中で大ヒット。この一枚、いや三枚で、ジョージを脇役と呼ぶ人はいなくなったんですね。その後のソロ活動は、ジョンの〈カリスマ性〉(って、あんまり使いたくない言葉だが)とポールの〈商売センス〉を前に、定位置=脇に回ってしまった印象が強くなりますが……ジョージはまたやってくれるんですねえ。18年ぶりの全米No.1ヒットとなった88年の“Got My Mind Set On You”。あれから、もう12年ですが、来世紀にもジョージの大ヒットが生まれるのでしょうか?(久保田泰平)
▼ジョージ・ハリソンの持ち味が十分に発揮された、ソロ代表作をご紹介。
『Cloud Nine』(Warner Bros.)