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特集

1967-1968 サイケデリックの奥に潜む多彩なアイデアとユーモア感覚

『Revolver』での実験精神をサイケデリックな香りで覆い尽くしたアルバム、それが20世紀を代表する名盤と言われる『Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band』(67年)だ。

これは、ライヴ活動を停止したビートルズが架空のバンドに扮しショウを行なうというポールのアイデアをもとに、5か月間延べ700時間をかけて制作されたもので、ショウの開幕を告げるタイトル曲からアンコールの“A Day In The Life”まで、アルバムをショウ仕立てにしたロック界初のコンセプト・アルバムとしてあまりに有名だ。アルバムをひとつのアートの域にまで高めたアイデアやユーモア感覚にあふれていることが、このアルバムの価値を一層高めている。LPの最後の音溝に犬にしか聴こえない高周波音を入れてみたり、それに続けて意味不明な笑い声を入れてみたり、曲と曲との間を限りなくなくしてみたり、動物の鳴き声のSEやビートルズ自身のライヴでの歓声を挿入してみたり……といったアイデアやユーモア感覚が他のどのアルバムよりもくっきりと表われているという、ビートルズのアルバムの中でもひときわ異彩を放つ内容だ。

この特集で紹介されているミュージシャン以外でも、数多くの〈サージェント〉チルドレンを生んだ影響力の大きさ。それがこのアルバムの一般的な評価の高さの大きな裏付けになっているようにも思う。

▼ビートルズがサイケに染まったこの時期の作品を紹介。

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2003年11月13日 19:00

更新: 2003年11月13日 19:31

ソース: 『bounce』 248号(2003/10/25)

文/速水 丈

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