ビートルズが生んだピープルツリー その1
THE MONKEES
『The Monkees』
Rhino(1966)
ブリティッシュ・グループに縄張りを荒らされた米音楽業界は、TVショウと連動したこのグループを仕掛けた。ボイス&ハート、ゴフィン=キング、デヴィッド・ゲイツなど名うてのソングライターによる佳曲が並ぶ。そしてマイク・ネスミスの才能の片鱗も。(鈴木)
THE SEX PISTOLS
『Never Mind The Bollocks』
Virgin(1977)古い保守的な世代に中指を立ててツバを吐いたセックス・ピストルズ。フーやキンクスはパンクスに支持されたが、ビートルズは非難された。しかしピストルズが爆音で演奏したのは、ごくシンプルなロケンロール。それこそ初期ビートルズが愛したサウンド。(米田)
GREEN DAY
『Dookie』
Reprise(1994)
思想やファッションとは無縁なところで、パンクにあったハードなポップ・エレメンツを爆発させた彼ら。その初期にR&Bやロックンロールへの憧憬を詰め込んだビートルズにしたって、黒人でもアメリカ人でもなかったわけで……誰も悪くないよね。(小野田)
THE WHO
『The Who Sings My Generaration』
MCA(1966)
ジャズ、R&B、ブルーズ、そしてロックンロールの、サウンドとファッションを、ゴチャ混ぜにしたモッズ。ワーキング・クラスの若者たちの情熱が溢れるこのアルバムは〈エスタブリッシュに対する怒り〉という点でビートルズに通じ、相互影響があった。(鈴木)
RAMONES
『Ramones』
Sire(1976)
14曲で29分余。シンプルで疾走感に溢れたロックンロールの応酬。〈パンク・ロック〉の本質は〈ロックンロール〉であることがよく理解できる1枚。シンプルさとともにすっトボけたユーモア感覚も見逃せない。このポップさ加減は初期ビートルズに通底する。(杉山)
SUPERGRASS
『I Should Coco』
Parlophone(1995)
ロックって何も考えずにスコーンと走り抜ける快感。「気持ちいいんだもん」と言われたらそりゃそうだと大賛成。若さゆえの衝動とロックの快感原則が大爆発したスーパーグラスはビートルズのただの猿真似ならず。ウッキーウキーとギターを掻き鳴らす。(米田)
ザ・スパイダーズ
『スパイダーズ アルバム No.1』
フィリップス/テイチク(1966)
ビートルズが来日した年にリリースされた日本初のオリジナル・ロック・アルバムでもあり、ビートルズの音楽に対して──日本人として──正しく回答を出してみせた作品。続くセカンド・アルバムでは、日本語詞によるビートルズ・カヴァーも披露。(久保田)
ザ・チェッカーズ
『EARLY SINGLES』
ポニーキャニオン
80年代前半、チェッカーズはオールディーズ風味の爽やかロックンロールでアイドルとロック・バンドの境界線を一気に崩した。60年代のグループ・サウンズ同様、ビートルズなみの熱狂で迎えられた彼らはブレインに恵まれ、また彼ら自身も賢明だった。(杉山)
THE BOO RADLEYS
『Wake Up!』
Creation(1995)
最初は初期というより中後期ビートルズのサイケ風味に影響を受けていたような彼らだったが、この3枚目のオリジナル作の、とりわけホーンが高らかに響く表題曲で一気に若返った。勢いあるストレートな作風はやはり同じリヴァプール出身の遺伝子ゆえか。(岡村)