Aretha Franklin
アレサ。その歌声を思い浮かべるには、ファースト・ネームだけで十分だろう。類い希なクィーン、レディー・ソウル……いくつもの賛辞や称号を積み重ねようと、その唯一無比のヴォーカルこそが何よりも雄弁に彼女の凄さを物語ってくれる。50年近いキャリアを経ても、いまなお史上最高のソウル・シンガーであり続けるアレサ・フランクリン。その圧倒的な覇道を改めて振り返ってみよう
アレサ・フランクリンは過日、5年ぶりの新作をリリースし、米国ツアーに出た。これが彼女の最後のコンサート・ツアーになるらしい。といってもそれは、ステージ活動に一応のピリオドを打つ、というもので、レコーディング・アーティストとしての引退を意味していないとのこと。大の飛行機嫌いでも知られる彼女、このラスト・ツアーもNYなどの東海岸と中西部(&カナダの一部)の数都市を回る中規模なものではある。
だが、ライヴの中身は、彼女の長くて濃い音楽キャリアを総括したものだそうだ。ゴスペル、ブルース、ジャズ、ソウル、ファンクと、米国産ブラック・ミュージックのさまざまなエッセンスをすくいとってきた彼女の音楽絵巻とは、いったいどんなものになるのか。確実なのは、アレサ自身がエッセンスでもあった〈ソウル〉を、現在の聴衆に間違いなくリセットしてくれるだろうことだ。
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