こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年10月02日 21:00

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/新谷 洋子

より親密さを増したセカンド・アルバム

「ファーストでの僕は、サウンド面で十分に見せ場を作っていなかったんだよ。なにしろバークリーを中退したばかりでギターに飽き飽きしてたし、弾きまくるのがカッコいいという考え方にウンザリだったんだ(笑)。だからギター・ソロも控えめだったんだけど、ファーストってそれでいいんだと思うよ。2枚目、3枚目で徐々に分量を増やせばいいのさ。ギターだけでなくすべての面でね。最初に持ち駒を出し尽くすよりも、常に何かをプラスできる状態を維持して、みんなが思っているより僕の能力の限界はずっと高い場所にあることを知らせたいんだ」。

 けれどおもしろいことに、サウンド的な見せ場は増えたものの、曲調のヴァラエティーは逆に限定されている。カントリー風ありバラードありと、ジョンいわく「虹みたいにカラフルな作品」だった前作に対し、本作では使う〈色〉の数を意図的に減らしたのだとか。

「前回はカラフルなわりには、各色を掘り下げるまでには至らなかったんだ。だから今回はより焦点を絞って、例えば紫色系の中のラズベリー色とブルーベリー色の微妙な差を表すことにこだわったのさ。そこには時折パイナップル色も混じったりするんだけど(笑)、結果的に全体的な統一感を醸すことができたんじゃないかな」。

 もっともサウンドの厚みが増したからといって、詞の存在感が後退しているわけでは決してない。それどころか、前述のとおり抽象的で内省的かつメランコリックな詞は、レイドバックした音と相性抜群だ。

「このアルバムは僕が〈家に帰ってきた〉ことに深く根差しているんだよ。つまりすごく〈ドメスティック〉で、〈作業服に着替えてギターをかついで、いざ出発!〉というスタンスじゃない。どの曲でも、僕は立ち止まってどこかに身を落ち着けようとしてる。しかもスロウモーションでね。なんだか、30代になったら作りたいなと思ってた作品が、早くも出来てしまったみたいだよ(笑)」。

 そしてジョンは、2枚のアルバムの間に生まれた以上のさまざまな差異を「年月がもたらした自然な変化」としつつ、次のように総括する。

「ファーストは〈こういう人間だと思われたい〉という願望の表れで、人を感心させようっていう下心が透けて見えるんだけど(笑)、セカンドはありのままの僕に近い。あるいは、前者は初対面の時の僕で、後者は友人になってから見えてくる僕、かな? 僕自身もこのアルバムで自分とじっくり向き合っているから、聴いている人たちにも僕とより親しくなってもらえたらうれしいね」。

インタビュー