こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

先人たちの足跡を振り返ってみよう!! PLAYBACK!! SINGER/SONGWRITER SCENE

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年10月02日 21:00

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/桑原 シロー

60's
自由な感性を身に付けたフォーク・シンガー
 60年代のシンガー・ソングライターとしてまず筆頭に挙げられるのがボブ・ディラン。60年代のフォーク・ブームのなかから姿を現した彼は、デビュー時、多くのフォーク・シンガーと同じく民謡やトピカル・ソングを歌っていたが、すぐにオリジナル曲を量産し、早いスピードで多くがスタンダード化する。最初彼は、プロテスト・ソングなどの公の歌を主に作っていたが、徐々に内面的な描写を行うソングライティングへと移行していく。重い荷物をおろし、自由な感性でパーソナルな世界を描きはじめた彼の曲は、それまで以上に刺激的で強力なパワーを放つこととなり、世界中の自作自演音楽家に影響を与えていくこととなる。それはビートルズのようなビート・バンドにも波及していった。特にジョン・レノンは彼の影響をモロに受けており、複雑な内面をポエティックに表現する術をディランから多く学んでいる。なによりディランの偉大さは聴き手に〈私も曲を書いてみたい〉という勇気を喚起させる力を持っていたこと。その結果として、以後登場する自作自演シンガーたちの多くにディランの影を見ることができる。フォークのメッカであるNYのグリニッチ・ヴィレッジには、フレッド・ニ-ルやティム・ハーディンがおり、彼らもまたユニークなオリジナル・ソングを作っていた。サイモン&ガ-ファンクルもフォーク・サウンドの旗手としてデビューしているが、ポール・サイモンのソングライティング力はその狭い枠を超えており、ポップ・フィールドでの高い評価を得ることになる。

▼文中に登場するアーティストの代表作を一部紹介。

70's
人々の心に響いた〈シンガー・ソングライター〉の歌声
 自作自演のソロ・ミュージシャンが〈シンガー・ソングライター〉という呼称でもって多く登場し、華やかなブームが訪れる。ビートルズの解散やジミ・ヘンドリクス、ジャニス・ジョプリンの死のニュースが駆け巡った70年という幕開けの年、輝かしい夢や理想をすべて吹き飛ばした大嵐が通過した街は荒涼としていた。そんな傷だらけの状況に向けて、穏やかな歌声と優しい言葉を投げかけた彼ら。また、騒ぎのあとの広場に散らばったテープや紙吹雪を淡々と片付ける彼らの姿は、〈家へ帰ろう〉というスローガンを掲げた人々の心をまっすぐに打ったのだった。〈疲れたよ〉とか〈懐かしいなぁ〉という呟きがリアルに響き渡った季節。シンガー・ソングライターと呼ばれる人たちが作り出す〈裸〉の歌が、人々にどれだけの温もりを与えたことだろうか。けたたましいアジテーションとは無縁の自己告白調の歌を綴り、ジェイムス・テイラ-は70年代初頭の象徴的存在となる。アコースティックでメロディアスで少し田舎臭い香りを持った彼の音楽スタイルが、その後のシンガー・ソングライターの雛形となったのである。60年代からスーパー・グループに属し、ヒーロー的存在であったニ-ル・ヤングもすでにその世界に入り込んでおり、〈ただの1人の男〉というイメージを放つようになっていた。この頃のニ-ルの歌の端々には枯れた味わいが感じられ、一歩引いたようなスタンスと相まって、黄昏れた色あいを放っている。ウェストコーストを代表するシンガー・ソングライター、ジャクソン・ブラウンも70年代を象徴する1人。静かなる怒りや悲しみを敷き詰めた彼の歌は、多くの若者の心を揺さぶった。時が流れるにつれ、シンガー・ソングライターの作品もいろいろなヴァリエーションが生まれてくる。ビリー・ジョエルのアルバムを聴くと、サウンドのコーティングによって曲を引き立たせようとする苦心の跡が見て取れる。歌を伝えるためにはどういう装飾が必要なのか? 次の時代はみんながこのテーマと格闘し、道を模索していくこととなる。

▼文中に登場するアーティストの代表作を一部紹介。

インタビュー