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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年08月21日 15:00

更新: 2003年12月25日 19:28

ソース: 『bounce』 245号(2003/7/25)

文/出嶌 孝次

いや、キッズじゃないよ


「いつまでもガキじゃないからな。名前に〈リル〉を付けるのは最初から抵抗があったんだよ、オレは!」。

 そう息巻くのはリル……じゃなくバウ・ワウ。スヌープ・ドギー・ドッグ『Doggystyle』のスキットに登場し、スヌープからジャーメイン・デュプリに身柄を託されて2000年にデビュー。アイドル人気も備えたキッズ・ラッパー=リル・バウ・ワウとして活躍してきたんだけど、このたび心機一転、ついに名前から〈リル〉を外したってわけだ。しかも、今回は育ての親であるデュプリと離れての制作となった。何か不安はなかったのだろうか……と思いきや、以下のような不遜な発言をしやがるのだ。

「ジャーメイン? バスケもオレのほうがずっと上手いよ。確かに彼はサクセスフルだけどね」。

 まあ、いわゆるクソガキですな。そんなこと言ってると、いつまでもキッズ扱いされるよ?

「いや、もうキッズじゃないって! ニュー・アルバムを聴いてもらえばわかるけど、オレの声は前よりもっとディープになったし、フロウも前とは違う。もう子供じゃないってことを十分証明できたと思うよ」。

 彼の言うところのニュー・アルバム、つまりバウ・ワウ名義では初のアルバムとなるのが間もなくリリースされる『Unleashed』だ。その仕上がりを聴けば、彼がつい傲慢になるのも何となくわかる。ベイビーをフィーチャーしたシングル曲“Let's Get Down”からして、これまでデュプリがバランス良く盛り込んできた〈サウス感覚〉が一気に全開になってる気もするし、単に背伸びじゃない大人っぽさも見え隠れしている。

「今回はこれまでとちょっと違うソウルっぽいものをやろうと思ったんだ。ジャジー・フェイやネプチューンズと組んだけど、彼らはオレの大好きなプロデューサーなんだ。特にジャジー・フェイは相性もいいし、オレの右腕的存在だよ。リル・ジョンは、もともとソー・ソー・デフのA&Rをやってた頃から知ってて、今回は2曲いっしょにやってる。他にはビンクやBAMにもやってもらった」。

 つまりはメインストリームを行く内容でありながらも、実際にはそういったサウンドがサウスの音でしかありえない、という現シーンの様子を体現しているわけだ。一方のリリック面でも成長を見せてる様子。

「前とはラップしている内容もテーマも違うんだよ。女の子のこともいっぱいラップしてるしね。オレは思いついたことをリリックにするだけ。だいたい自分の身の回りに起こってることがテーマになってるんだ。オレ、書くのが凄く早いんだよね。オレは今主流のサグっぽい感じではやってなくて──最近は少しそっちの方向に近づいてはいるけど──独自のスタイルでやってるつもりだし、それが自分の個性だと自覚してるよ」。
そう分析するバウ・ワウは現在、故郷のオハイオと活動拠点のアトランタを行き来する生活だとか。そのように自身も深く関わるサザン・ヒップホップがここまでポピュラーになった理由って何かね?

「オハイオとアトランタはヴァイブ的には似てるんだけど、特に限定して考えたことはないから、よくわからないな。オレはいまやってることを精一杯やるだけだし。でも、サウスの音が主流になって、全米中を制覇しちゃったのは、ずっと新しいトレンドだからじゃないの? みんな、新しいものが聴きたいわけだし、南部っぽい音が新鮮なんだろうね。もともとエネルギッシュで派手だし、インパクトが強い音楽だからさ」。

 そんなサザン・ヒップホップの旨味を上手く採り入れたバウ・ワウの『Unleashed』。ガキの作品だと思ってナメてたら、たぶん噛み付かれると思うよ。
▼(リル・)バウ・ワウのアルバム。

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