耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
9 栄芝×近藤等則
『The吉原』 ビクター/2003
京都つながりの大沢と近藤。IMA解散間際の時期、近藤の『CLUB NEW LIGHT』で2人は共演。早くからクラブ・ミュージックの可能性について、またジャズとの融合について、体を張った考察を行ってきた近藤に対してのリスペクトは海より深いはず。女性シンガーのプロデュース業というつながりも最近できたばかり。(桑原)
10 saigenji
『saigenji』 Happiness/2002
新進のスキャットマン、saigenjiを起用した“WAITIN' FOR T”(『NEXT WAVE』に収録)。打ち込みのトラックに乗って遊ぶ暴れはっちゃくを眺めながら、大沢は何を思ったのだろう? どんなもんにも食らいついてはガツガツ飲みこんじまうsaigenji気質のおもしろさを大沢は素早く見抜いた。まさに〈NEXT WAVE〉の到来。(桑原)
11 VARIOUS ARTISTS
『Underwater Episode 1 : Mixed By Darren Emerson & Tim Deluxe』 Underwater/2003
アンダーワールドばりの“SHININ'”を生み出した大沢だが、DJとしての彼が現在ハマッているのは、そのアンダーワールド脱退後に1ランク上の成功を収めたダレン・エマーソンのレーベル=アンダーウォーターだとか。本作をダレンと共にミックスしてるティム・デラックス絡みの曲は〈FEARLESS〉でも定番です。(轟)
12 OMAR
『Best By Far』 Naive/2000
クラブ・オリエンテッドなジャズ……という雑な括りで見れば、アシッド・ジャズ時代の各々がMONDO GROSSOとシンクロして思えたのも当然。その後、大沢と同時期に2ステップにトライしたオマーだが、その“Something Real”をリミックスしていたのが誰あろう大沢。自身のイヴェントにオマーを招いたことも。(轟)
13 EARTH, WIND & FIRE
『All 'N All』 Columbia/1977
ソウルやジャズ、ラテンをブレンドしたプログレッシヴなダンス・ミュージックを長きに渡り量産したEW&F。『Soul Source EARTH, WIND & FIRE REMIXES』にて大沢がスキャット・ナンバー“Brazillian Rhyme”をチョイスしたのは、彼なりのまっすぐなリスペクトの証。〈飛翔〉というテーマは大沢音楽の支柱でもあるな。(桑原)
14 BILLY PRESTON
『Ultimate Collection』 Hip-O
プレストンのスタイルを真似た音楽家は数多けれど、彼の顔真似をして様になったのは大沢だけ。70年の『Encouraging Wards』をパクッた『Closer』のジャケのことですけど。ポップ・チューンに黒っぽさを塗り込んだり、ソウル・チューンにポップ・フレイヴァ-をまぶしたりするクロスオーヴァー・センスは両者の共通項。(桑原)
15 YOUNG DISCIPLES
『Road To Freedom』 Talkin' Loud/1991
90年代前半において、大沢がもっとも影響を受けたと公言するヤング・ディサイプルズ。ジャジー&ソウルフルなサウンドを最新モードとして提示するそのスタイルがMG誕生時におけるひとつの理想型であったことは言わずもがな。なお、93年にはメンバーのマルコがMGの“YELLOW NOTE”をリミックスしている。(達磨)
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