大沢伸一と出会い、そして羽ばたいていったディーヴァたち
MURPHY AND HIS DIVAS
本文中でも触れられているように、大沢伸一のプロデューサーとしての活躍は音楽シーンそのものに対して大きなインパクトを与え続けてきた。とりわけ女性シンガーとの相性の良さは誰もが認めるところで、MONDO GROSSOの活動初期からコラボレーションを行ってきたMONDAY満ちるや、大沢のバックアップのもと(名前どおり)世に飛び立っていったbirdなどとの連帯のなかから生まれた名曲の数々は、いまもなおその輝きを失っていない。そして、それらの楽曲は90年代後期におけるひとつのジャパニーズ・スタンダードを形作ったといっても過言ではないだろう。その時代の最新モードを忍びこませながら、幅広いリスナーにアピールしうるポピュラリティーをも併せ持つ……それこそが〈大沢ブランド〉。そして〈女性シンガーをいかに料理するか〉ということよりも、共同作業のなかからその魅力を最大限に引き出す──そんな細やかな仕事っぷりもまた大沢伸一の魅力だ。その手腕は、おびただしい量のリミックス・ワークでもいかんなく発揮されており、ここで紹介した楽曲以外でも嶋野百恵“Baby Baby Service”(98年)のリミックスや我那覇美奈“Tears”(同年)からも彼らしい手捌きを聴きとることができる。
1.bird 『bird』 ソニー(1999)〈プロデューサー・大沢伸一〉の名を知らしめることになった全面プロデュース作
2.MONDAY満ちる 『Optimista』 ポリドール(1999) プロデュースのみならずプログラミングなども手掛けた一枚
3.wyolica 『who said“La La...”?』エピック(2000) 大沢がプロデュースした彼らのファースト・アルバム
4.Chara 『JUNIOR SWEET』 エピック(1997)Charaとタイトル曲を共作。同曲のプロデュースも大沢
5.UA 『11』 スピードスター(1996) スマッシュ・ヒットを記録したシングル“リズム”をプロデュース
6.荻野目洋子 『CHAINS』 ビクター(1997) 今作にも収録されたシングル“Look Up To The Sky”では作曲およびプロデュース、“Make It On My Own”ではプロデュースを手掛ける
7.Sugar Soul 『on』 ワーナー(1999)今作に先駆けてシングルとしてもリリースされた“Source”を作曲およびプロデュース
8.りょう 『キエテヨ』 ワーナー(1998) Charaとの共作/プロデュースからなるシングル
9.CLEMENTINE 『Heure D'ete』ソニー(1998) MONDAY満ちると共に“Un Dia De Estos”を作曲およびプロデュース
10.HIROSHI FUJIWARA+SHINICHI OSAWA feat. Crystal Kay 『LOST CHILD』ソニー(2001) 藤原ヒロシとのタッグによって制作された映画「サトラレ」の主題歌で、Crystal Kayをフィーチャー。同年には彼女の“Girl's Night”をリミックスしている
11.MISIA 『REMIX 2002-WORLD PEACE』 BMGファンハウス(2001) 大沢がリミックスを手掛けた“Sunny Day”を収録したリミックス・アルバム
12.BoA 『Peace B. REMIXES』 avex trax(2002) 大沢による“ID : PEACE B”のリミックス・ヴァージョンを収録したリミックス・アルバム。『NEXT WAVE』にも参加している彼女との縁はここから?