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特集

UKロックを定義づけたレジェンドたち(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年07月10日 16:00

更新: 2003年07月10日 16:02

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/伊藤 英嗣、木 村優宏、米田 貴弘、村尾 泰郎

THE SMITHS
 UKでもっとも平均的な姓を冠したバンド。理想主義と清冽さを3分間に詰め込んで、パンクに埋め尽くされたポップ・ミュージック・シーンを鮮やかに蘇生。社会原理とは相容れない弱者──〈惨めな自分〉や〈変わり映えのしないあなた〉をただポーンと放り出し、白日のもとにさらけ出すことで涼やかな力強さと新たな美しさを産み出した。まるで彼らのステージや故郷の廃墟にばら蒔かれた、少し萎れたグラジオラスの花束のように。(木村)

DEPECHE MODE
 一介のアイドル・バンドが、シンセサイザーというとっておきのツールを駆使し徹底的に内向することで、いつの間にか外界と拮抗するような荘厳ともいえる独自のロックンロールを確立。その特異な美学と観念性はUSをも侵食、オルタナへの影響は甚大。(木村)

THE JESUS AND MARY CHAIN
 うつむいた視線とノイズの残響を武器にしたグラスゴーの解放者は、フィードバックを多用した革新のギター・サウンドとライヴごとの大暴動という事件性に終わらず、ロックンロール本来のメロディーやフィーリングを意識的に抱え続けた正統派であった。(木村)

NEW ORDER
 イアン・カーティスというカリスマを失ったジョイ・ディヴィジョン。残されたメンバー=ニュー・オーダーは、パンクというブースターを切り離し、ハウス~テクノといったクラブ・ミュージックへと接近することで80年代以降のUKロックに鮮烈な方向性を指し示した。息苦しいほど密室的なサウンドと、切れば血がでるような生身のメロディー。ハシエンダをベースに彼らが展開した快楽に関する新しい秩序は、レイヴ・カルチャーを越えていまも大きな影響力を与え続る。(村尾)

THE STONE ROSES
 ニュー・オーダーを先陣に、ますます手の付けられないパーティーへと膨らんでいったマンチェスター・ムーヴメント。その中心にあって、迷彩色のグルーヴで戦火を広げていったのがストーン・ローゼズだった。60'sテイストを撒き散らしたサイケデリックなギター・ノイズと、ズブズブと沈み込んでいくようなファンキーなリズム。〈セカンド・サマー・オブ・ラヴ〉なんて呼ばれたドラッグまみれのシーンのなかで、彼らの漂わせていたロックンロールの色香は濃厚。(村尾)

RIDE
 オックスフォードで掻き鳴らされた轟音サイケ・ロックは、どこか甘い匂いがした。メンバー全員が初めてのバンド経験でリーダーもいない、あまりにもピュアなノン・ドラッグによるギター・エクスタシー。メンバーのアンディ・ベルは現在、オアシスのベーシストでもある。(米田)


シャーラタンズの92年作『Between 10th And 11th』(Beggars Banquet)

THE CHARLATANS
〈マッドチェスター〉第2波に便乗しつつも、その卓越した洗練性と音楽への真摯な貪欲さで唯一生き残ったバンド。全英1位のアルバムを3枚保持しているのはその証。意匠を変えながら深化するという、ポップ・バンドの命題に挑戦し続ける稀有な存在。(木村)

THE HAPPY MONDAYS
 80年代末期、マンチェスター。失業者と行き場のない若者による廃工場での昼夜を問わないパーティー。ハウスを中心としたさまざまな音楽、そして倦怠とドラッグ。それらすべてを飲み込んで独自の快楽グルーヴを産んだ、奇跡の天才バンドにして筋金入りの放蕩集団。(木村)

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