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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年07月10日 16:00

更新: 2003年07月10日 16:02

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/桑原 シロー

from リヴァプール!! セカンド・アルバム『Magic & Medicine』から、煙にまみれたブルースを感じろ!! 


〈ドアーズ〉広場を抜け、〈ラヴ〉横丁をちょいと曲がり、〈牛心隊長〉路地を入ったところに〈コーラル〉長家はあり、住人はまだ20歳前後だというのに、どてらとピース缶が似合うような連中で、日がな一日空に向かってタバコを燻らせているような生活を送っている……ってな具合に、コーラルのデビュー・アルバム『The Coral』を聴いたら勝手に想像がブロウアップしちゃったが、なにより先に〈なんとまぁ酔狂なアルバムだこと〉と、嬉しいため息がこぼれた。聞けば、本国イギリスのみならず我が国でもかなりの支持を得てるというではないか。サイケデリックな夢心地にさせられました。復元困難なジグソーパズルをひたむきに組み立てているような画がコ-ラルの音楽からは見えてくる。ビートは直線的に進まないズンドコ系、ヴォーカルも雲の上であくびをしてるような感じ。ときおりヘンテコな絵柄を浮かび上がらせては笑わせてくれるが、全体には闇雲な力が充満していて、目を凝らせばみんなしゃかりきに〈ロック〉を掻きむしっていたりする。そして、メロディーや空気感には魅惑的な〈疲れ〉が張り付いており、〈おいおい、若いうちからそんなでどうする?〉と説教のひとつもたれたくなるほどなのだが、一方でやけに頼もしい気分にもさせてくれる。その〈疲れ〉とは、ブライアン・ウィルソンの曲やヴィンテージ・ブルースなどに見られるのと同種類のものだからだ。

「いろいろ誉めてくれて、ありがとう」(ジェイムズ・スケリ-、ヴォーカル/ギター)。

「ブライアン・ウィルソン、そしてロバート・ジョンソンをはじめ偉大なブルース・ミュージシャンのみなさん、ありがとう!(笑)。 僕たちの音楽に〈疲れ〉が感じ取れるのは、深夜にレコーディングすることが多いからだよ(笑)」(ビル・ライダー=ジョーンズ、ギター/トランペット)。

「ああ。昼間からやって、僕の場合は夜になったら歌入れもしないといけなかったからな。その頃にはヘトヘトに疲れてる。だからそう聞こえるんだよ(笑)」(ジェイムズ)。

「ブルースの要素も確かに入ってるんじゃない?」(ビル)。

「うん、ブルースの疲れていて哀しいフィーリングね」(ジェイムズ)。

小さな街からやって来た楽隊?

 待望のセカンド・アルバム『Magic & Medicine』は、そんな要素を加速させた内容で、演奏、曲ともに、渋さ/妖しさ/やましさなどが倍増している。またアレンジには、刷毛を筆に持ち替えたがごときタッチの変化も感じられて……。

「録音にはトータルで3か月ぐらいかけたよね?」(リ-・サザ-ル、ギター)。

「ファーストの曲は、みんなでスタジオにいっしょに入ってライヴ録音したんだけど、ほとんどアレンジはされてなかった。アイデアはいろいろあったんだけどね。ツアーをやりながらだったから、凝る時間がなかったんだよ。でも今回はしっかりアレンジができた。〈小さな街からやって来た楽隊〉みたいな音を出したいと思ったんだよね」(ジェイムズ)。

 彼らの魅力のひとつでもある〈夢想性〉について。いにしえのアシッド・フォーク・ナンバーにあるような歪みの美学、こいつが前作では縮れ毛的らせんを描くように作品を貫いていたが。

「ファンタジー・チャンネル(有料アダルト・チャンネル)はずっと観ててもOK(笑)」(ジェイムズ)。

「夢は見続けていいと思う。僕は、もう何年も夢の世界を追っているけど、とても健康的だよ!」(ビル)。

「でも、今回はファーストよりも夢想性は低いと思う。より地に足が着いてる感じがするよ……こう思うのって、僕だけか?」(ジェイムズ)。

「えっと……今度のアルバムのほうが、普段の僕たちに近いよね。そういう意味では、より現実に近いのかな。ファーストのほうがピュアなロック、じゃない?」(ビル)。

「そうそう。内省的な感じはあるな。ファーストは外に出ていく感じのアルバムだった。今回、ツアー中に曲を書くときはバスやホテルの中でアコースティック・ギターで作曲するしかなくて、最初に出来たのがそうやって作った曲群だったから、その雰囲気にハマッていったんだね。だからこそ、スタジオに入ってからアレンジが必要だった」(ジェイムズ)。

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