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特集

スカとレゲエだけじゃないジャマイカン・ミュージックの奥深さ

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年06月12日 12:00

更新: 2003年06月12日 20:04

ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)

文/竹田 研一朗

ここでは、スカ~レゲエへ繋がるジャマイカ音楽の主流に対して少なからず影響を及ぼしつつ、独自の存在感を示してきた音楽をご紹介しましょう。ただし対象範囲が広く、詳細説明は困難なために50年代から60年代初頭までの音楽を中心にしようと思います。

まず、ジャマイカで初めて録音された音楽であるメント。基本的にはヨーロッパから入ってきたクァドリールなどのダンス・ミュージックがジャマイカの黒人文化のなかで成長してきた音楽で、ルンバ・ボックス、バンジョー、ギター中心のバンドで演奏されます。なかでも“Penny Reel”“Healing”といった楽曲はスカ以降でもカヴァーされてきました。メントの最盛期は50年代後半ですが、現在でもさまざまなバンドが活動を続けています。次に当時のサウンドシステム(移動式のスピーカー・システム)で主流だった、リズム&ブルースなどのアメリカ黒人音楽から影響を受けたもの。これは50年代後半からさまざまなスタイルでの録音があり、特に国家独立に向けた動きが活発化した60年代初頭にはジャマイカの独自性が顕著なものが多く現れました。歌詞にもアフリカ回帰やジャマイカの宗教的要素が色濃く表れ、プリンス・バスターが制作したフォークス・ブラザーズの“Oh Carolina”(後にシャギーがカヴァー)や“I Met A Man”といった作品ではカウント・オーシーがナイヤビンギ・ドラミングで参加し、〈ジャマイカンR&B〉と呼ぶのが遠慮されるような独自性を持つまでに発展していきます。また、当時からジャマイカではジャズが親しまれており、古くから海外で活動するアーティストもいましたし、ジャマイカを拠点に活動するアーティストもいました。コクソン・ドッドが結成するスカタライツのメンバーはジャズ・ミュージシャンが中心でしたし、スカ以降も含めて多くのミュージシャンがジャズとの接点を持っていました。

それ以外にもトリニダード・スタイルのカリプソをはじめとしたそのほかのカリビアン・ミュージック、ゴスペルなどの宗教音楽、そしてリズム&ブルース以降にアメリカで生まれたソウルなども同じように親しまれていたことを補足しておきます。

ジャマイカン・ミュージックの奥深さが伝わる作品を紹介


リズム&ブルースやジャズ色も濃厚なテオ・ベックフォード『Trench Town Ska』(Jamaican Gold)


土着的なドラム・チャントが特徴的なナイヤビンギの代表格、カウント・オーシーのベスト盤『A Rasta“Reggae”Legend』(Moodisc)

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