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特集

やっぱり何よりもええ音楽やしね!

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年06月12日 12:00

更新: 2003年06月12日 20:04

ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)

文/ダイサク・ジョビン

足達晋一(DETERMINATIONS)と森雅樹(EGO-WRAPPIN')がゆったりゆらりと語り合うカリビアン・ミュージックの魅力

――今回の特集では、レゲエより前のジャマイカ音楽やトリニダードのカリプソを中心に、カリビアン・ミュージックが持つホットでスウィートな魅力に迫ってみたいと思ってます。ということで、カリビアン・ミュージックから多大な影響を受けているEGO-WRAPPIN'とDETERMINATIONSからお二人に顔を揃えていただいたわけですが、リスナーからしてみるとエゴとデタミのバックグラウンドにある音楽についても知りたがってると思うんですよ。

森雅樹(EGO-WRAPPIN' : 以下、森)「マイティ・スパロウの“Under My Skin”なんてよくクラブでプレイされてるしね」

足達晋一(DETERMINATIONS : 以下、晋)「お客さんはそれがカリプソってことまではみんな知らないかも。でも、カリプソって最近よく話題になってるよな」

――ここ1~2年、ロンドンを中心にヨーロッパで、スカの盛り上がりとともにカリプソも再評価が行われてるみたいですね。

「〈London Is The Place For Me〉(昨年リリースされたカリプソのコンピ)はムッチャ良かったもんな」

「うん、あれ内容すごい良かった。世界的にもやっぱりこういう音楽が再評価されてるし、日本でも盛り上がりつつあるのは感じるなあ」

「ホントええ感じやなあ。やっぱり何よりもええ音楽やしね。一瞬でもいいからみんなこういう音楽を通ってほしいって思うわ」

「スカにしてもカリプソにしても同じ空気感ってありますもんね」

「あるある。ダサイけどシブイみたいな(笑)」

「録音状態もいい感じで、その奥行きとかもおもしろかったりする。ホーンの音、鳴りとかええやん」

「質感がね、むっちゃええし。あと人間ありき、というかテクニックとは違うところにも魅力を感じる。泣きながら踊ってる(笑)っていう感じが。リズムはロックしてるんだけど歌詞は泣いてるっていう」

――カリブの音楽ってなかなか紹介される機会もなくて一般的に聴く機会も少なかったと思うんだけど、一度聴くとみんなハマってしまうという魔法の音楽ですよね。

「絶対やろ。今回マイティ・スパロウのインタヴューも載ってるの? めっちゃ会いたいわぁ」

「(笑顔で)会いたいっすよねぇ、単純に」

――もともとカリブの音楽ってどうやって辿り着きました?

「イギリスのパンクからかな。それで2トーン、スカ、レゲエ、カリプソと……ジャンルで括って聴いていったっていうより、いろいろな音楽を聴いてるうちに」

「やっぱりね、そのへんの音楽の50~60年代前半の音ってなんか特別な雰囲気があるからね」

「TVがまだそんなに普及してなくて、ラジオとかレコードでみんな本当に音楽を求めてた時代っていうか、生活レベルでもっと音楽が近いところにあっただろうからね」

――音楽的ルーツの話になりますが、例えばDETERMINATIONSの“Under My Skin”のカヴァーなどからは、自分たちが持っている豊富な音楽的ルーツに対して敬意を払うというアティテュードが感じられます。この曲はマイティ・スパロウもやっていますが、さらに遡るとジャズのスタンダードでもあるというその歴史がちゃんと感じられますよね。

「それが〈スカ・マナー〉やね。オリジナルと聴き比べてもらったとき、ちゃんとそのアーティストに敬意が表されているっていうのを音として示さなあかんって考えてやるから」

――今回〈Rock A Shacka〉シリーズとしてお二人の選曲によるコンピ『VOICE OF THE PEOPLE』と『MOVE! BABY MOVE!』がリリースされるんですが、普段お二人ともDJをやってるんでその感覚も出てるんでしょうか?

「スカもカリプソも知らない人が聴いてどう感じるのか、っていうクエスチョンはあったんですけど、最後には自分の好きな曲を選んで、それを聴いてほしいっていうかジャッジしてほしいって感じですね。今回選んだ曲はみんなポップだし、レア音源とか抜きにして〈ええもんはええ〉って」

「晋さんの選んだ曲はどれも垢抜けてますしね。僕も悩みましたけどね、悩みたかった(笑)。〈この曲も入れたい!〉って楽しみたかったから」

――今回コンピに入ってる曲をいちミュージシャンとして聴いてどう思います?

「間違いない」(一同爆笑)

――DETERMINATIONSと〈キング・オブ・スカ〉ことプリンス・バスターとのライヴ音源も同時に〈Rock A Shacka〉シリーズでリリースされますが、実際共演してみてどういった印象を持ちましたか?

「やっぱり本物は本物だった、と」(一同爆笑)

「よくずっと憧れてたミュージシャンに実際会ってみて、ちょっとがっかりすることもあるじゃないですか。でもちょうどそのとき晋さんと電話で話してて、バスターにはそれがなかった、って。〈アイツは真のルードボーイや〉って(笑)」

「いやあ、めちゃめちゃシブかったわ」

「僕もそのライヴのときDJやったんだけど、まだ彼に会う心の準備ができてなかった。で、たまたまトイレに行ったらその隣がバスターさんの楽屋で、ちょっとドアが開いてたんで〈見てええんかなあ〉と思って(笑)、覗いてみたんですよ。その前に晋さんが〈ヤツはシャドウ・ボクシングしてるから〉って言ってたから〈ホンマ?〉って思ってたんだけど、真っ黒のコート着てホンマにやってるんですよ(笑)。〈ホンマやあ〉って(笑)。それが嬉しかった。〈現役〉っていうか〈まだまだいけるやん!〉って」

「レコーディングはやっぱ緊張しましたね。バスターはいわゆる標準的なノリとかをめざして録音するわけじゃなくて、自分がそのときどんだけ踊れるかっていうのが基準で」

「(羨ましそうに)ええなあ」

――スカもカリプソも生活に根ざした音楽で、メロディーもきれいでダンス・ミュージックでもあり、そしてストリートの現実を伝えるレベル・ミュージックでもありますよね。

「そこなんですよね、魅力は。スカも言葉にはしないけどそれを感じて音にしてきたと思うし。日常に根ざしたところでなにかと闘う。拳を突き上げて反逆がどうだってところとは違って。でも、どっかやっとかなあかんっていう。そこが惹かれるところですね」

――バスターもライヴのステージでメッセージをいっぱいしゃべってましたよね。

「みんな英語あんまりわからないのに、ああやって一所懸命伝えようとする意志がすごい。広告塔みたいなところがありますもんね、スパロウとかもそうだし。スカやカリプソのそういうところは絶対ヒップホップまで繋がってるわ」

足達晋一(DETERMINATIONS)


オーセンティック・スカをベースとした人情味溢れる、味わい深いそのサウンドと最強&最高のライヴ・パフォーマンスで熱狂的な支持を受けている、〈大阪の至宝〉ことDETERMINATIONSのトロンボーン奏者。DJとしても活躍している。その甘いマスクと渋さでも人気を集める、物静かだが熱い意志を感じさせる伊達男。DETERMINATIONSの最新オリジナル・アルバムは『Chat Chat Determination』(ZION/ISLAND/ユニバーサルJ)

森 雅樹(EGO-WRAPPIN')


豊富な音楽的バックグラウンドからオリジナルな音楽をクリエイトし続けるEGO-WRAPPIN'のギタリスト、〈森ラッピン〉こと森雅樹。今回のコンピ『MOVE! BABY MOVE!』の選曲のように時代やジャンルを越えた変幻自在なDJプレイも話題。最近ではデタミのライヴへの飛び入り参加が目立ち、今デタミにもっとも(かつ一方的に)入りたがっているというウワサ。EGO-WRAPPIN'の最新作は『Night Food』(Minor Swing/ユニバーサルJ)

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