AC/DC(2)
ハードなブギー、ラウドでタイトなロックンロール
マルコム・ヤングとその弟アンガス・ヤングを中心に、73年に結成された5人組、AC/DC。彼らのなかでも真っ先に目がいくのがリード・ギタリストのアンガス・ヤング。世界中のギタリストの中でもこんなキャッチーな人はいないでしょ。小学生の制服、短パンで(初期はバッグも背負っていた)ギターを弾き続ける小柄な彼の姿は、まさしくスクール・ボーイ! 悪魔のツノっぽいボディーのギブソンSGを抱え、ライヴ中休むことなくヘッド・バンギングし続けるアンガス。しまいにはライヴのピークにケツを出すという、レスラーでいえばディック・マードックみたいな必殺技を持っている男だ。そんなアホなネタにロック・キッズが反応しないわけがない。そして彼らのサウンド。70~80年代当時は、ハード・ロック、ヘヴィー・メタルと括らていた彼らだけど、その音楽性の本質は〈ハードなブギー、ラウドでタイトなロックンロール〉に尽きる。このシンプルさで世界を制しちゃったんだから凄いとしかいいようがないね。あと、単純明快さでいけばAC/DCというバンド名もそうだ。AC/DCとは電流の直流/交流、または男も女もイケちゃうという意味のスラングでもある。彼らはどう考えてもストレートな男って感じだけど、下品なロック・バンドをイメージするには最適のネーミングだ。しかもロゴ(下記イメージ参照)がバッチリすぎるほどカッコ良い。それは現在の目から見ても全然有効で、ファッションの世界でモチーフにされることもしばしば。さらにはアメリカの人気ヴァラエティー〈サタデーナイト・ライヴ〉でゲスト出演した際、WWEの人気レスラー、トリプルHにアンガスが肩車されるという最高に素敵なシーンもあったぞ。ついでにいっちょ個人的な話を。82年当時、モーターヘッドとジャムとAC/DCが同時期に来日という、夢の豪華三つ巴戦が勃発。お金がない友人は選択に迫られた。いまならどう考えてもジャムだろって感じだけど、子供だった彼のチョイスはAC/DC! あとでみんなに突っ込まれたというが、でもそれだけAC/DCがキッズのハートにいちばんビンビンに響く存在だったのだ。そのことがよくわかるエピソードである。とにかく、ビッグなアーティストから近所の子供まで無差別にトリコにしてしまうAC/DC。さらに彼らの魅力を探っていこう。
AC/DCのロゴマーク