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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年05月15日 14:00

更新: 2003年05月20日 17:28

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/出嶌 孝次

エミネムの心象としてのデトロイト

デトロイト時代のエミネムもBラビットと同じように、生活保護を受けながら母親と弟の3人で暮らしていた。人種別に居住区が分かれるデトロイトにおいて、エミネムは白人居住区にも黒人居住区にも住んだことがあるそうだ。最下層の暮らしに加えて、わざわざヒップホップ・コミュニティーに加わろうとした彼は、映画以上に屈辱的な経験も味わっただろう。あちこちに廃車やゴミや古タイヤや廃屋が映り込むデトロイトの光景はあまりにもうら寂しく、パーティーの後に廃屋を燃やす〈Devil's Night〉のシーンもあまりにも切ない。が、それは当時のエミネムが抱えていた心象そのままなのかも知れないな。

ただ、あえて言えば、やはりこれはエミネムのアイドル映画である。エンディング後に始まる成功の道程をあらかじめ知っているわけで、荒んだ話でも後味自体がそう悪くないのも巧いし、してやられました。エミネム、カッコイイよ。

映画『8 mile』

2002年/アメリカ 監督/カーティス・ハンソン  出演/エミネム、キム・ベイシンガー、ブリタニー・マーフィー、メカイ・ファイファー、タリン・マニング他 5月24日より東京・渋谷スカラ座他、順次全国公開予定(配給/UIP)

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