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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年05月08日 19:00

更新: 2003年07月10日 16:01

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/小林 英樹

ブルックリンを揺るがすエクストリームな音の衝撃波。ブラック・ダイスに注目せよ!!


マジでブルックリンが凄いことになっている! マンハッタンの家賃高騰が理由で、若きクリエイターたちは東京でいうところの三鷹(……って感じかな?)的この場所に移り住み、ファッション、映画、アート、そして音楽……と、新しい文化を作り出している模様。それはこのブラック・ダイスも然り。キッズのころは東京在住だったというドラム&ヴォーカルのヒシャム・バルーチャが答えてくれた。

「結成は97年ごろかな。ロードアイランド州プロヴィデンスのデザイン・カレッジにいた時で、そのころ地元ではシックス・フィンガー・サテライトとかレス・サヴィー・ファブ、ハイドロジン・チェアーズ、そして僕も参加していたライトニング・ボルトとか、パンクと日本のノイズに影響を受けたようなバンドが徐々に出てきて、アートも含め盛り上がり始めてたんだ。そして、98年にみんなでブルックリンに移った。とにかく最初はお客さんが眠たくならないようにしようと、かなり破壊的だったな。でもライヴでやっていたインプロヴィゼーションとかノイズでの表現がどんどん楽しくなってきて、いまのようなスタイルに変わっていったんだ」。

確かに彼らのファースト・シングルがリリースされた際、プレス側のレヴューは〈メルツバウ+ボアダムス+ハリー・プッシー〉とか〈最強の暴動ライヴが拝める!〉とか、そんな感じで煽っていた。しかし3作目にして初のフル・アルバムとなった本作『Beaches & Canyons』では、あきらかにネクスト・レヴェルに駆け上がった彼らを身体全体で味わえる。トライバルでエレクトロ、カオティックでありながら癒し、ノイズと舞い続けるビートの風はマジで神様が降りてくるような……。

「ヴィジュアルが浮かんだらそれを音にしようと思っているんだ。誰か一人が〈海をイメージして〉と言ったら、それをみんなで構築してね。とくに今作では次のレヴェルのブラック・ダイスをイメージしてポジティヴに作った。あととにかくライヴで再現できる曲じゃないとね。エレクトロといっても、決してラップトップだけじゃない。ライヴのエネルギーがいちばん大事だから」。

そして今作のリリースは、いまをときめくDFA(北米以外の流通はファット・キャット)。元シックス・フィンガー・サテライトのジェイムズ・マーフィー(LCDサウンドシステム)とアンクルでも御馴染みのティム・ゴールドワージーによって設立されたレーベルで、なんと言ってもラプチャーのブレイクで、ロック・ファンならずともハウス~ダンス・ミュージック界隈からも大きなリスペクトを受けている。

「ラプチャーも昔からの友達だし、家族的な雰囲気があったからね。それにほかのDFAのアーティストと僕たちの音楽はかなり違うでしょ。それを同じレーベルからリリースするのもおもしろいことだと思ったし。そういうのを僕たちは凄く大事にしていて、ライヴでも全然違うフォーク系の人たちと共演したりして、お客さんにもっと幅広く音楽に接してもらいたいと思ってるんだ」。

さて、そんな彼らは現在のブルックリンをどう思っているのだろう。やっぱダイレクトに熱風は感じてる?

「ちょっと流行りっぽくなってきたかな、とは思う。僕たちが住んでいる場所にもオシャレな若者がどんどん移ってきて、ちょっと気持ち悪いかな。明治通りに住んでるみたいだしね(笑)。でもDIYにやってる人も多いから良いところだとも思うよ。ヤー・ヤー・ヤーズやライアーズとか盛り上がっていて素直に嬉しいし。でもやっぱ僕たちはちょっと違う存在かな(笑)」。

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