現在、ふたたびキーワードとして浮上しつつあるジャズ SCENE 3 -JAZZ?-
日本の音楽シーンのなかにおいて作り手側も、そしてリスナーからの受け止められ方もここ数年大きく変わってきたもののひとつがジャズである。クラブ・シーンとの繋がりは日本だけに留まらない動きとして90年代初頭からアシッド・ジャズ~クラブ・ジャズというムーヴメントのなかで新たなる視点をジャズに注いできたわけだが、ここ数年の日本の状況――つまり、突如として沸き起こった〈ジャズは盛り上がっている!〉という潮流――に関していえば、それもまたクラブ・シーンとの関係は切っても切り離せないものだろう。
70年代にマイルス・デイヴィスが試みていたジャズとロック、ファンクとの融合を押し進めたようなデートコースペンタゴンロイヤルガーデン(以下、DCPRG)であったり、〈サイボーグ・ファンク〉をクリエイトし続けるTOKYO ZAWINUL BACHであったり、またはトリオ形態でテクノ/エレクトロニカに近付こうとするphatであったり(彼らはメンバー構成を変えて再出発の予定だとか)……といったアーティストはこれまでにもたびたびクラブでの演奏を行ってきた。ただ、上に挙げたアーティストたちは結果的にジャズのおもしろさをフレッシュな形で伝えてくれるのもおもしろいところだ。そうした意味でいうと、先ごろリリースされたSLEEP WALKERのファースト・アルバム『SLEEP WALKER』もまたジャズの魅力を再発見させてくれる一枚。中村雅人、吉澤はじめといった元MONDO GROSSOのメンバーによるこのグループは打ち込みを一切使用しないでジャズを思いっきり演奏するという、その思いきりの良さが逆に痛快。また、パーカッショニストである仙波清彦によるユニット、SEMBA SONIC SPEARは幅広いエッセンスがより複雑に交差しながらもジャズの匂いがプンプンと匂うアルバム『SONIC SPEAR』を先ごろリリースした。そのハチャメチャ具合はジャズの胃袋のデカささえ感じさせてしまうもの。そして、現在のジャス・シーンのなかでもっとも精力的な活動をするドラマーといえば芳垣安洋。DCPRG、ROVOなどなど、その精力的な活動には驚かされるばかり。なかでも彼が中心となって結成されたVincet AtmicusはDCPRG、ROVOの主要メンバーが揃った最強バンドで、先ごろ発表された『Vincent I』は破壊力、オリジナリティー共にバツグンの必聴盤だ。
まだまだ刺激的なアーティストは数多く存在している。クラブであったりジャズ・クラブであったり、もちろん作品のなかであったりと、さまざまな場所で刺激的な〈ジャズ〉に出会うことができる。う~ん、素晴らしい!!
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。
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